PHONETICでふりがなが出ないのは、そのセルに読みの情報が入っていないからだ。Excelは日本語入力で漢字に変換したときの読みを覚えていて、PHONETICはそれを返す。貼り付けや取り込みで入った文字には、その情報がない。
このとき、PHONETICは空を返さない。元の漢字をそのまま返す。10件の名前で試すと10件ともそうなった。
以下の数は、Microsoft 365のExcel(バージョン16)で実際に作って確かめたものだ。確認日は2026年9月22日。Windows 11で、10件の氏名をプログラムから入れて試している。貼り付けや取り込みと同じで、読みの情報が付かない入れ方になる。
空ではなく、元の漢字がそのまま返る
10件の名前にPHONETICをかけると、10件とも氏名の欄と同じ文字が返った。
ここが分かりにくいところだ。空なら気づくが、漢字が返ると一見それらしく見える。ふりがなの列に漢字が並んでいて、よく見ると氏名の列と同じ、という状態になる。
この性質は検査に使える。PHONETICの結果が元の文字と同じなら、そのセルには読みが入っていない。
=IF($B3=$A3,"","読みあり")
B列がPHONETICの結果、A列が氏名だ。同じなら読みが無い。配った表はこの形で数えている。
一括で付けると10件とも入るが、読みは7件しか合わない
読みを付ける手順は決まっている。氏名の列を選び、ホームタブのふりがなの表示と非表示の右にある矢印から、ふりがなの編集を押す。先頭のセルにふりがなが出るので、Enterで確定すると次のセルに進む。選んだ範囲の分だけEnterを押し続ける。
10件に付けると10件とも入った。ここまでは期待どおりになる。
問題は中身で、人が付けた読みと同じだったのは7件だった。残り3件は違う読みになった。
違ったのは、小川 四子がオガワ ヨンシ、中村 六美がナカムラ ロクミ、長谷川 七海がハセガワ ナナウミだった。正しくはヨシコ、ムツミ、ナナミになる。
数字を含む名前で外れている。四子、六美、七海はどれも数字の読みに引っ張られた。人の名前の読みは字からは決まらないので、機械が付けたものは必ず見る。
3割が違うという数は、この10件での結果だ。名前の傾向によって変わる。ただ、一括で付けて終わりにしてよい精度ではない。
Excelの中で貼るなら、値のみでも読みが運ばれる
どこから貼るかで結果が変わる。5件で確かめた。
ふりがなを付けたセルを同じブックの中でコピーして、すべてを貼り付けで貼ると、貼り先も5件とも読みを持っていた。値のみの貼り付けでも5件とも運ばれた。
値のみなら書式だけが落ちると思いがちだが、ふりがなは値に付いてくる。Excelの中で動かす限り、読みは一緒に移る。
外から来たときだけ付かない。CSVに書き出して開き直すと、5件とも読みが無くなった。CSVは文字しか持てないので、読みの情報はそこで消える。
だから、ふりがなを付けた名簿をCSVで渡すと相手には届かない。読みを渡したいなら、かなの列を作ってその文字ごと渡す。PHONETICの結果を値にして列に残せば、CSVでも運べる。
氏名を1文字直すと、その行のふりがなが消える
もう1つ、気づきにくい動きがある。
5件にふりがなを付けたあと、1行目の氏名を渡辺 一郎から渡辺 二郎に書き換えた。その行のPHONETICは、漢字をそのまま返すようになった。読みが消えている。
触っていない2行目は、アオキ ハナコのまま残っていた。消えるのは書き換えた行だけだ。
名簿の直しは、改姓や誤字の修正で日常的に起きる。直した行だけ読みが抜けるので、表全体を見ても気づかない。
配った表の状態の列は、この場合もふりがなが無いと出す。直したあとで検査の数を見れば、抜けた行が拾える。1件直すたびに全体の件数を見る形にしておくと、抜けが溜まらない。
手で直したかなは、別の列に残す
セルのふりがなを直接編集する方法もある。ふりがなの編集を押して、出てきたかなを打ち直す。
ただしこれだと、直した記録がどこにも残らない。次の月に同じ名簿を受け取ったら、また同じ3件を直すことになる。
かなの列を別に作って、そちらに正しい読みを打つほうがよい。配った表はC列を手で入れるかなにして、D列で優先している。
=IF($A3="","",IF($C3<>"",$C3,IF($B3=$A3,"",$B3)))
C列に手で入れたかながあればそれを使い、無ければPHONETICの結果を使う。PHONETICの結果が漢字と同じときは空にする。
この形にしておくと、C列だけを別のブックに残しておける。翌月はVLOOKUPでC列に引き当てれば、直す作業が1回で済む。名簿の突き合わせと同じ考え方で、直したものを資産として持つ。
ふりがなが無いと、並べ替えが五十音順にならない
10件の名前を並べ替えて確かめた。
ふりがなが入っていない状態で並べ替えると、正しい五十音順と合ったのは10件中3件だった。順番は佐々木、山田、小川、青木、大野、中村、長谷川、渡辺、鈴木、伊藤のようになる。
ふりがなを付けてから同じ並べ替えをすると、10件とも正しい順になった。青木、伊藤、大野、小川、佐々木、鈴木、中村、長谷川、山田、渡辺だ。
並べ替えのオプションには、ふりがなを使うかどうかの設定がある。両方で試したが、今回の10件では結果が変わらなかった。効いたのは、セルにふりがなが入っているかどうかだった。設定を切り替えて直そうとしても直らない。
配った表では、D列の使うかなをキーにして並べ替える。氏名の列をキーにしない。かなの列で並べれば、ふりがなの情報が入っていても入っていなくても同じ結果になる。
名簿を受け取ったら最初に数える
毎月受け取る名簿なら、開いた直後に何件が読みを持っているかを数える。
配った表に貼ると、状態の列が3つに分かれる。ふりがなが無い、Excelの読み、手で直したの3つだ。ふりがなが無いと出た行は赤くなる。
見本の10件で確かめた。貼った直後は、手でかなを入れた3件を除く7件が、ふりがなが無いと出る。一括で付けたあとは0件になり、Excelの読みが7件、手で直したが3件になる。

0件になるまで手を打ってから、かなの列で並べ替える。順番が先だと、途中で直したときにまた並べ替え直すことになる。
ふりがなの種類は、並べ替えには効かない
ふりがなの設定で、全角カタカナ、半角カタカナ、ひらがなのどれにするかを選べる。
3つとも試して並べ替えた。10件の順番は3つとも同じで、青木、伊藤、大野、小川、佐々木、鈴木、中村、長谷川、山田、渡辺になった。並べ替えに使うだけなら、種類はどれでもよい。
変わるのはPHONETICが返す文字だ。ひらがなならあおき はなこ、全角カタカナならアオキ ハナコ、半角カタカナならアオキ ハナコが返る。表に出して人に見せるなら、全角カタカナにそろえるのが読みやすい。
半角カタカナは、重複を数えるときに全角と別のものとして扱われる。あとで突き合わせに使う列では避ける。
配った表は、ふりがなの種類を変えていない。Excelの既定のまま出る。ひらがなで持ちたいなら、使うかなの列にPHONETICの結果ではなく、手で打ったひらがなを入れる。
確かめていないこと
外国人の氏名やカタカナだけの名前では試していない。読みの情報が元から無い文字で、PHONETICが何を返すかは確認していない。
ふりがなを付ける手順は、キーボードから確定を繰り返す形で確かめた。画面のボタンを押す操作と同じ結果になるかは確認していない。
Web版のExcelとGoogleスプレッドシートでも試していない。PHONETICが同じように動くかは分からない。



