36協定の上限を月ごとに見張る。2〜6か月平均80時間をExcelの式で出す

2026-09-21仕事の型

36協定の上限で見落とすのは、2か月から6か月の平均のほうだ。単月の時間だけ見ていると引っかかる。

12か月分で試した。どの月も100時間未満で、45時間を超えたのは3回、年間の時間外も531時間で720時間に収まっている。それなのに2つの月が平均の条件を外れた。

以下の上限は、2026年9月21日に厚生労働省の働き方改革特設サイトで確かめた。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。データは式を確かめるために作った架空のものだ。個別の判断は所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確認してほしい。

上限は4つあり、数え方が違う

原則の上限は、残業時間が月45時間・年360時間だ。臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできないと書かれている。

特別条項を結んだ場合に、上限が4つになる。年720時間以内、月100時間未満、複数月平均80時間以内、そして月45時間を超えられるのは年6か月まで。

ここで数え方が分かれる。月100時間未満と複数月平均80時間以内には、休日労働を含むと明記されている。年720時間のほうには、その注記がない。

つまり、時間外だけを足した列と、休日労働を足した列の2本が要る。1本で管理しようとすると、どちらかの判定が狂う。

違反には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められている。

単月が100時間未満でも、2か月平均で引っかかる

架空の12か月で計算した。8月が時間外92時間と休日労働3時間で合計95時間、9月が89時間と3時間で合計92時間。どちらも100時間を下回っている。

ところが8月で終わる2か月の平均は81.5時間、9月で終わる2か月の平均は93.5時間になった。どちらも80時間を超えている。

8月の81.5時間は、わずか1.5時間の超過だ。7月の68時間と8月の95時間を足して2で割った数字で、どちらの月も単独では条件を満たしている。

これが見落としの正体になる。単月の上限と平均の上限は別の物差しで、片方だけを見ても安全とは言えない。

12か月分の時間外と休日労働を並べた表。8月と9月の2-6か月平均の最大がそれぞれ81.5と93.5で、平均80以下の判定が×になっている

2〜6か月平均を1つの式で出す

平均は2か月から6か月まで、5通りを全部見る必要がある。その月で終わる窓を5つ作って、いちばん大きい値を取る。

=ROUND(MAX(AVERAGE(D7:D8),AVERAGE(D6:D8),AVERAGE(D5:D8),
           AVERAGE(D4:D8),AVERAGE(D3:D8)),2)

D列は時間外と休日労働の合計だ。8行目がその月の行で、2か月前から6か月前までの範囲を順に平均している。

判定は1本で済む。

=IF(平均の最大<=80,"○","×")

年度の途中は窓がそろわない。4月の行には前月がないので、2か月平均も出ない。前年度からの続きで見るなら、前年の1月から3月の行も同じ表に置いておく。ここを切ると、4月と5月の判定が甘くなる。

超えた月を過ぎても、平均には効き続ける

9月で93.5時間になったあと、10月は44時間まで下がった。それでも10月の平均の最大は77.0時間だった。

理由は、10月で終わる3か月の窓に8月と9月が残っているからだ。9月の後始末は9月では終わらない。

11月で67.4時間、12月で61.2時間、1月で54.0時間と下がっていく。8月と9月の影響が窓から抜けるまで、数か月かかる。

だから、80時間に近づいた時点で翌月以降の見込みを立てる。超えてから減らすのでは、次の月の平均が下がりきらない。

45時間を超えられるのは年6回

回数の上限も別に数える。この例では7月、8月、9月の3回だった。6回以内なので条件は満たしている。

=COUNTIF($時間外の列,">45")

この数え方は時間外だけを見る。休日労働は入らない。上の平均の判定とは列が違うので、同じ表の別の列で数える。

45時間を超えた月が6回に達した時点で、残りの月は45時間以内に収めるしかなくなる。年度の前半で使い切ると、後半の繁忙期に打つ手がない。上半期で何回使ったかを、9月の時点で確認する。

来月いくらまで出せるかを逆算する

平均の上限は、翌月に出せる時間の上限として読み替えられる。こちらのほうが現場で使える。

2か月の窓なら、80時間の2倍から今月の合計を引いた分が翌月の上限になる。3か月の窓なら、80時間の3倍から直近2か月の合計を引く。5つの窓それぞれで計算して、いちばん小さい値が実際の上限だ。

=ROUND(MIN(80*2-D9, 80*3-SUM(D8:D9), 80*4-SUM(D7:D9),
           80*5-SUM(D6:D9), 80*6-SUM(D5:D9)),1)

上の例で9月まで入力した時点で計算すると、10月に出せるのは53時間までと出た。2か月の窓だけで見ると68時間なので、15時間の差がある。効いているのは3か月の窓だ。

月ごとに出すとこうなる。4月の時点では130時間、7月のあとは92時間、9月のあとは53時間。数字が下がっていく様子がそのまま余力の減り方になる。

注意が1つある。この式が出すのは平均の条件から来る上限だけだ。月100時間未満という条件は別にあるので、実際の上限は小さいほうを取る。130時間と出ていても、100時間以上にはできない。

翌月の見込みを聞かれたときに、この数字を先に渡す。53時間までと言えれば、業務の割り振りを決められる。超えてから相談されるより早い。

表にする列は8つ

毎月同じ形で足していくので、列を固定しておく。

中身
対象期間の12か月。前年の1月から3月も上に置く
時間外 法定時間外の合計。休日労働は入れない
休日労働 法定休日に働いた時間
合計 時間外と休日労働の和
45時間超 時間外が45時間を超えた月に印
100時間未満 合計が100時間未満かの判定
平均の最大 2から6か月の窓の最大値
翌月の上限 逆算した数字

年間の累計は表の下に置く。列に入れると、月の途中で入力した値で判定が動いてしまう。

人ごとに1枚ではなく、1人1行の年間表にする。人数が多いなら、この表を人の数だけ縦に並べて、月を列にする形もある。どちらでも計算は同じだ。

毎月見る4つの数字

表の下に4行置いて、月次の作業で見る。

時間外の年間累計。この例では531時間で、特別条項の720時間まで189時間残っていた。原則の360時間は171時間超えているので、特別条項の届出がなければこの時点で違反になる。

45時間を超えた月数。3回だった。

100時間以上になった月の数。0だった。

2か月から6か月の平均が80時間を超えた月の数。2だった。ここだけが赤になる。

=COUNTIF($判定の列,"×")

4つのうち3つが正常でも、1つ外れていれば違反だ。合格の数ではなく、赤が1つでもあるかを見る。月次の確認に組み込む形は月次の締めの記事と同じで、第何営業日に見るかを先に決める。

踏んだ失敗

単月の時間だけ見ていたことがある。95時間と92時間を並べて、どちらも100時間未満だから大丈夫だと判断した。2か月平均の列を作っていなかった。

年度で表を切っていたこともある。4月から3月の12行だけを持っていたので、3月から4月をまたぐ平均が出なかった。前年の1月から3月を上に足して、窓がそろう形に直した。

時間外と休日労働を1本の列で管理していた時期もある。年720時間の判定に休日労働が混ざり、実際より多く出ていた。逆に、100時間未満の判定で休日労働を外していた月もあった。列を2本に分けてから、どちらの判定も合うようになった。

45時間を超えた回数を年度の終わりに数えたこともある。2月の時点で6回に達していて、3月に残業を出せなくなった。上半期で何回使ったかを見ていれば、配分を変えられた。

割増率そのものの計算は残業の割増の記事に分けて書いた。上限の管理と割増の計算は別の作業で、使う列も違う。

確認していないこと

年720時間に休日労働が入るかどうかは、今回読んだページの書き方から入らないものとして計算している。月100時間未満と複数月平均80時間以内には休日労働を含むと明記されているが、720時間のほうには注記がなかった。確定した扱いは所轄に確認してほしい。

特別条項を結ぶ手続きと、届出の様式は扱っていない。上限を超えるかどうかの判定だけを書いた。

適用が猶予されている業種と、猶予が終わったあとの扱いも確認していない。建設業や運送業には別の案内が出ている。

対象期間を4月から3月以外にしている場合の数え方も確認していない。上の表は4月始まりで作っている。有給の管理と同じで、期間の始まりを間違えると集計が合わなくなる。基準日で区切る考え方は有給休暇の記事に書いた。

出典(2026年9月21日確認): 厚生労働省「時間外労働の上限規制」働き方改革特設サイト。

36協定時間外労働上限規制労務勤怠管理