議事録をAIに書かせる手順。文字起こしから配布まで、決定と提案を取り違えないための依頼文と確認の型

2026-09-20AIの使い方

1時間の会議の議事録に、1時間かけていた。録音を聞き直しながら書くので、会議と同じ時間がかかる。文字起こしをAIに渡して要約させると3分で出てくるが、最初のころは「決定事項」に、誰かが提案しただけで決まっていない話が混ざった。配布したあとで「それ、決まってましたっけ」と言われ、訂正版を出した。

今は、決定事項の1つ1つに根拠の発言を引用させる依頼文にしている。引用があれば、確認は原文を検索するだけで済む。この記事の依頼文と結果は、2026年9月20日に、3人の打ち合わせを想定した604字の文字起こしで試したものだ。

流れは5段階。AIがやるのは3段階目だけ

録音、文字起こし、要約、確認、配布。AIに任せるのは要約だけで、前後は人の作業だ。

録音は、会議ツールの文字起こし機能があるならそれを使う。話者ごとにラベルが付く文字起こしが手に入るかどうかで、あとの手間が大きく変わる。対面の会議でスマホで録るなら、机の中央に置いて、発言の前に名乗ってもらう。「田中です。配布日の件ですが」の一言があるだけで、文字起こしの話者が分かる。

文字起こしは、渡す前に3か所だけ直す。参加者の名前の表記、社名や商品名の誤変換、数字の区切り。「斉藤」と「斎藤」が混ざったまま渡すと、要約にもそのまま出る。全部は直さない。名前と数字だけ。

要約はAIに渡す。依頼文は次の節のものを毎回使う。確認は、引用を原文に照らして5分。配布は、確認が終わったら引用を消した版を出す。

依頼文には、型と、引用の義務と、決めない権限を書く

コピーして使っている依頼文はこれだ。文字起こしの前に付けて渡す。

下の文字起こしから議事録を作って。
参加者: 田中(課長、決定権あり)、佐藤(販促担当)、鈴木(店舗担当)
議題: チラシの部数、配布日、ポイント還元

型:
■ 決定事項(決まったことだけ。1件ごとに、根拠になる発言をそのまま「」で引用する)
■ 宿題(誰が・何を・いつまでに。担当が発言から分からなければ「担当: 不明」と書く)
■ 未決(出たが決まらなかったこと。いつ誰が決めるか)
■ 参考情報(数字、前回の実績、見送った案)
■ 次回

決まり:
・提案や意見は決定事項に入れない。「〜でいいと思います」は提案。決定は決定権のある人が「〜で決定」「それでいきましょう」と言ったもの。
・数字が途中で訂正されたら、訂正後の値を書き、訂正があったことを参考情報に残す。
・文字起こしにないことは書かない。推測で補わない。
・日付は「10月16日(木)」のように月日と曜日で書く。

参加者と役割を先に渡すのは、AIが「誰に決定権があるか」を知らないからだ。これがないと、一番長く話した人の意見が決定になる。「担当: 不明」と書かせるのは、担当を推測で埋めさせないため。空欄が残るほうが、間違った名前が入るより安全で、確認のときに見つけやすい。

604字の文字起こしで試した結果

3人の打ち合わせを想定して、次の要素を入れた文字起こしを作った。決定が途中で変わる場面(配布日を14日と言ったあと、雨予報で16日に変更)、数字の訂正(実績を120件と言ったあと118件に訂正)、決まらなかった議題(ポイント還元率を6%か7%か、部長に確認してから)、担当が発言から決まる宿題が3つ。

上の依頼文で返ってきた議事録は495字で、決定事項が3件、宿題が3件、未決が1件、参考情報が3件、次回の日時。引用は8か所あり、8か所すべてが文字起こしの原文と一字一句一致した。配布日は16日で、14日を決定と書いていない。実績は118件で、120件は「訂正された値」として参考情報に回っている。宿題の担当は、佐藤、鈴木、田中と全部埋まった。

気づいたことが1つある。引用つきの議事録は、元の文字起こしとほとんど同じ長さになる。604字の原文に対して495字。これは配布用ではなく確認用の版で、確認が終わったら引用を消す。消すと200字ほどになる。

同じ文字起こしから話者の名前を全部消して渡すと、宿題3件のうち担当が発言から決まるのは1件だけになる。発注は「佐藤さんお願いできますか」と名指しされているので分かるが、POPの「私がやります」と部長確認の「私が聞いておきます」は、誰の発言か文字に残っていない。依頼文の決まりどおりなら、この2件は「担当: 不明」で返る。話者ラベルの有無で、宿題の3分の2が埋まるかどうかが決まる。

試したのは短い文字起こしだけで、1時間の会議、2万字前後の文字起こしでは確かめていない。長くなるほど、AIは前半の内容を薄くする。長い会議は議題ごとに文字起こしを分けて、議題ごとに依頼するほうがいいと思っているが、それも今回は確かめていない。

5分で終わる確認の型

配布前の確認は、順番を決めている。

  1. 決定事項の引用を、文字起こしで検索する。見つからない引用が1つでもあれば、その決定は消す。
  2. 決定事項の1件ごとに「誰が決めたか」を見る。引用の話者が決定権のない人なら、未決か参考情報に移す。
  3. 宿題の3点、担当・内容・期限がそろっているか。「担当: 不明」は会議の出席者に聞いて埋める。AIに埋めさせない。
  4. 数字と日付を、文字起こしの該当箇所と見比べる。訂正があった数字は訂正後か。
  5. 未決に「いつ誰が決めるか」があるか。なければ次回の議題に足す。

この5つが通ったら、引用を消して配布する。5分で終わるのは、引用があるからだ。

引用を消すのもAIにやらせる。確認版を渡して「確認が終わった。「」の引用と(根拠: …)を全部消して、配布用に整えて。内容は足さない」と頼む。手で消すと、引用の途中で切れた文が残る。

私の場合、文字起こしの下処理に3分、AIの要約に1分、確認に5分、引用を消して配布に1分。会議と同じ1時間かかっていた作業が10分になった。短くなったのは書く時間で、聞き直す時間がなくなったからだ。引用がないと、決定事項の1件ごとに録音を聞き直すことになり、AIに頼む前と変わらない。

引用を義務にする前に踏んだ失敗

提案が決定に化けた件は、冒頭に書いた。「8,000部でいいと思います」という発言を、そのまま「チラシは8,000部に決定」と書かれた。会議では、そのあとに駅前の配布を増やす話が出て、内訳が変わっている。決定権のある人の「それでいきましょう」まで読んで初めて決定になる。依頼文に「提案と決定の区別」を書き、引用を義務にしてから、この取り違えは起きていない。

話者ラベルのない文字起こしを渡した回は、宿題の担当が全部「不明」か、逆に全部同じ人になった。誰が「私がやります」と言ったかが文字に残っていないので、AIには決めようがない。担当が全員同じ名前になった版は、一見それらしいだけに危ない。これ以来、ラベルのない文字起こしのときは、参加者一覧を渡したうえで「担当: 不明」を許し、出席者に聞いて埋めている。

固有名詞の誤変換は、文字起こしの段階で起きる。取引先の担当者名が別の漢字になったまま議事録に載り、先方に送る直前に気づいた。今は文字起こしを渡す前に、名前と数字だけ直す。全部を直そうとすると文字起こしを読み切ることになり、時間の節約にならない。

社外のAIに渡す前に決めておくこと

文字起こしには、参加者の名前と、社内の数字と、取引先の名前が入る。社外のAIサービスに入れてよいかは、会社の規程で決まっている。私は、取引先の固有名詞と金額を伏せ字にしてから渡す運用にしていた時期がある。要約の質は落ちなかった。録音そのものも、相手に録音することを伝えてから始める。

配布用の議事録の型

確認が終わって引用を消した、配布用の型はこれだ。

2026年10月8日 販促打ち合わせ(田中・佐藤・鈴木)

■ 決定事項
・チラシは8,000部。駅前1,000部、ポスティング7,000部
・配布日は10月16日(木)
・店頭POPは前回のものを日付だけ直して使う

■ 宿題
・チラシ印刷の発注: 佐藤、10月9日午前
・POPの日付修正: 鈴木、10月10日まで
・ポイント還元率(6%か7%)の部長確認: 田中、次回まで

■ 未決
・ポイント還元率。次回、田中の確認結果を受けて決める

■ 参考
・前回のチラシは1万部で約2,000部が余り。ポイント還元の前回実績は118件

■ 次回
・10月20日(月)10:00

宿題の行は、そのまま日報の「止まっていること」と、引き継ぎ書の未処理に写せる。議事録を型で書いておくと、あとの2つが楽になる。

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