電子帳簿保存法の電子取引データを、Excelの索引簿で保存する。国税庁が示す簡易な方法

2026-09-20請求・見積

メールに添付された請求書や、取引先のサイトからダウンロードした領収書は、データのまま保存しなければならない。紙に印刷して保管するだけでは要件を満たさない。

専用のシステムは要らない。国税庁のリーフレットには、システムの費用をかけずに対応できる方法として、表計算ソフトで索引簿を作る方法と、規則的なファイル名を付ける方法の2つが示されている。

以下の要件と方法は、2026年9月20日に国税庁の「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和6年1月以降用)で確かめた。索引簿はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で実際に作って計算させた。個別の判断は所轄の税務署に確認してほしい。

何を保存するのか

リーフレットの記載はこうだ。注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、請求書などに相当するデータをやりとりした場合、その電子データを保存しなければならない。

紙でやりとりしたものをデータ化する必要はない、とも明記されている。逆に言えば、データで受け取ったものを紙にして捨てる運用は通らない。

受け取った場合だけでなく、送った場合も保存する。こちらが発行してメールで送った請求書も対象だ。見落としやすいのはこちら側で、受信メールのフォルダだけを見ていると漏れる。

保存するファイル形式は問わない、とも書かれている。PDFに変換したものでも、スクリーンショットでもよい。画面をそのまま撮ったものが認められるのは、意外に知られていない。

満たすのは3つ

リーフレットが挙げている要件は3つある。改ざん防止のための措置をとること。日付・金額・取引先で検索できること。ディスプレイやプリンタなどを備え付けること。

3つ目は、画面で見られてプリンタで出せればいい。普通の事務所なら足りている。問題になるのは最初の2つだ。

ファイル名だけで済ませる方法

2つある簡易な方法のうち、軽いのはファイル名のほうだ。データのファイル名に規則性をもって日付・金額・取引先を入れ、特定のフォルダに集める。こうするとフォルダの検索機能が使える。

国税庁が示している例はこの形だ。

20260331_110000_(株)霞商店.pdf
20260210_330000_国税工務店(株).pdf
20260228_330000_国税工務店(株).pdf

年月日を8桁、金額をカンマなしの数字、取引先の名称。この並びなら、フォルダ内を「霞商店」で検索すれば該当のファイルが出るし、「202603」で絞れば3月分が出る。

件数が月に数十件までなら、この方法で足りる。索引簿を作る手間もない。

索引簿をExcelで作る

件数が増えると、ファイル名だけでは金額の範囲で絞れなくなる。そこで索引簿を作る。国税庁が示している列は、連番、日付、金額、取引先、備考の5つだ。

私はこれにファイル名の列を足した。式で作れば打ち間違いがない。

=TEXT(B2,"yyyymmdd")&"_"&C2&"_"&D2&".pdf"

日付をB列、金額をC列、取引先をD列に入れておくと、上の国税庁の例と同じ形のファイル名が出る。この文字列をコピーして、実際のファイル名に使う。索引簿とファイル名が必ず一致する。

検索はCOUNTIFSSUMIFSで足りる。7件の索引簿で試した結果がこれだ。

条件 件数
取引先が国税工務店(株) 3
2026年2月1日から6月30日 6
金額が10万円以上40万円以下 5
3つを組み合わせ 2

組み合わせの式はこうなる。

=COUNTIFS(索引簿!$D:$D,$B$2,索引簿!$B:$B,">="&$B$3,索引簿!$B:$B,"<="&$B$4,
          索引簿!$C:$C,">="&$B$5,索引簿!$C:$C,"<="&$B$6)

該当分の金額の合計も同じ書き方で出る。上の条件で計算させたら748,000円だった。調査のときに「この取引先のこの期間の分」と言われて、すぐ出せる形になる。

索引簿とフォルダの突き合わせ

索引簿を作る運用でいちばん怖いのは、索引簿に書いたのにファイルがない、ファイルはあるのに索引簿に載っていない、という食い違いだ。これは式で見つけられる。

フォルダのファイル名一覧を別のシートに貼る。コマンドプロンプトでdir /b > list.txtとすれば一覧が作れる。そのうえで両方向にCOUNTIFをかける。

索引簿側: =IF(COUNTIF(フォルダ!$A:$A,F2)=0,"フォルダに無い","")
フォルダ側: =IF(COUNTIF(索引簿!$F:$F,A2)=0,"索引簿に無い","")

手元の7件で試したら、索引簿にあってフォルダにないものが1件、フォルダにあって索引簿にないものが1件出た。前者は保存し忘れ、後者は記録し忘れだ。どちらも月末に見つければ直せる。

COUNTIFは完全一致で照合するので、ファイル名に全角と半角が混ざっていると拾わない。取引先の名称は索引簿から式で作るようにしておくと、この崩れが起きない。表記の崩れで集計が合わなくなる話は在庫のSUMIFSの記事に詳しく書いた。

受け取ったその日にやること

運用は3つの動作に分かれる。どれも1分かからない。

請求書が届いたら、添付ファイルを保存用のフォルダに入れる。このとき索引簿の行を先に作って、ファイル名の列に出てきた文字列でファイル名を付ける。順番を逆にすると、索引簿に書き忘れる。

取引先のサイトからダウンロードする請求書は、届いたお知らせのメールを見た時点で取りに行く。後回しにすると、サイトの掲載期限が切れて取れなくなる。期限は取引先によって違い、3か月で消えるところもあった。

自分が発行して送った請求書は、送信したその場で同じフォルダにコピーする。月末にまとめてやろうとすると、送信済みメールを1件ずつ開くことになる。

月末に3分でやる突き合わせ

月末にやるのは2つだけだ。フォルダのファイル名一覧を取り直して貼り、突き合わせの列に何か出ていないかを見る。

一覧はコマンドプロンプトで作る。保存用のフォルダを開いた状態で、アドレス欄にcmdと打つとそのフォルダで開く。

dir /b > list.txt

/bはファイル名だけを出す指定だ。できたテキストをExcelに貼り、索引簿の突き合わせの式が参照している列に置く。

「フォルダに無い」が出たら、保存し忘れたファイルを探す。メールの受信箱をその日付と取引先で検索すれば出てくる。「索引簿に無い」が出たら、索引簿の行を足す。どちらも月末なら記憶が残っている。3か月たつと、何の書類だったか分からなくなる。

この2列が空のまま月を越えられるようになれば、運用が回っている。

改ざん防止は規程で足りる

もう1つの要件が改ざん防止だ。タイムスタンプを付ける方法や、訂正と削除の履歴が残るシステムを使う方法もあるが、リーフレットには費用をかけない方法として「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」が挙げられている。

規程のサンプルは国税庁のホームページに載っている。自社の名称と担当部署を入れて整えれば、事務処理規程としての形になる。作ったら、実際にその通りに運用する。規程だけ作って守らないのでは意味がない。

規程を作ったあとにやることは、保存先のフォルダを決めて、そこに入れる人を決めて、書き換えない約束を守ること。これだけだ。

踏んだ失敗

受け取った分だけ保存して、自分が送った請求書を保存していなかったことがある。送信済みメールを見返して、1年分を後から集めた。今は請求書を発行したその日に、同じフォルダへコピーしている。

ファイル名を手で打っていた時期は、取引先の名称がぶれた。(株)霞商店株式会社霞商店が混ざり、フォルダの検索で片方しか出なくなった。索引簿から式で作る形にして止まった。

紙で受け取った請求書までスキャンして同じフォルダに入れていたこともある。手間が倍になったうえ、索引簿の件数が合わなくなった。データでやりとりしたものだけが対象だと気づいて、分けた。

確認していないこと

売上高が一定額以下の場合に検索の要件が不要になる扱いがある、という情報を見かけたが、今回読んだリーフレットには書かれていなかった。金額の基準と条件は国税庁の一問一答で確かめてほしい。

猶予措置の条件も、このリーフレットの範囲では確認していない。相当の理由があるかどうかの判断は所轄の税務署に聞く。

索引簿の列をどこまで増やすかは自由だが、要件として求められているのは日付・金額・取引先での検索だ。増やしすぎると入力が続かない。月次の作業に組み込む形は月次の締めの記事の作業一覧と同じで、第何営業日にやるかを決めておく。

出典(2026年9月20日確認): 国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和6年1月以降用、令和5年7月)、国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」。

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