算定基礎届で平均する月の選び方。支払基礎日数17日と15日と11日の分かれ目

2026-09-21仕事の型

算定基礎届でいちばん間違えるのは、4月から6月を単純に平均してしまうことだ。支払基礎日数が足りない月は平均から外す。

手元の例で計算した。5月だけ出勤が12日だった人は、3か月を単純平均すると241,000円になる。5月を外した正しい平均は302,500円だ。差は61,500円で、標準報酬月額の等級がいくつも動く。

以下の要件は、2026年9月21日に日本年金機構の定時決定のページで確かめた。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。データは式を確かめるために作った架空のものだ。個別の判断は所轄の年金事務所に確認してほしい。

5月の支払基礎日数が12日だった人の平均額。17日以上の月だけで平均すると302,500円、4月から6月を単純平均すると241,000円

出すのは7月1日時点の全員

対象は、7月1日現在のすべての被保険者および70歳以上被用者と書かれている。提出期限は毎年7月10日までで、10日が土日に当たる場合は翌営業日になる。

出さなくていい人が4種類ある。6月1日以降に資格取得した人、6月30日以前に退職した人、7月改定の月額変更届を出す人、8月または9月に随時改定が予定されている人だ。

最後の2つが抜けやすい。4月に昇給した人は7月に随時改定がかかる。その人の算定基礎届を一緒に出してしまうと、どちらが有効か分からなくなる。昇給の記録を先に見て、7月から9月に月額変更が出る人を除いてから作る。

6月入社の人も対象外になる。入社の時点で資格取得届を出していて、そのときの報酬で標準報酬月額が決まっているからだ。退職の手続きとの関係は退職者が出たときの記事に書いた。

基準の日数は3つある

平均に使う月を選ぶ基準が、区分ごとに違う。

通常の被保険者は、4月・5月・6月のいずれも支払基礎日数が17日以上あるかを見る。17日に満たない月は平均から外す。

短時間就労者、いわゆるパートの場合はもう1段ある。3か月のうち1か月以上で17日以上あれば、その月の平均を使う。17日以上の月がなく、支払基礎日数がいずれも15日未満の場合は従前の額を継続する。その間、つまり15日以上17日未満の月がある場合は、その月で平均する。

特定適用事業所の短時間労働者は11日以上が基準になる。社会保険の適用が広がった結果、この区分の人が増えている。要件そのものは賃金要件が外れる記事に書いた。

同じ職場に3つの基準が混在する。区分の列を先に作らないと、判定が始まらない。

支払基礎日数は、出勤日数とは限らない

判定の前に、日数そのものの数え方でつまずく。給与の形で3通りに分かれる。

厚生労働省の通知には、月給制で欠勤控除がない場合は各月の暦日数によると書かれている。4月なら30日、5月なら31日だ。出勤した日数ではない。

月給制でも欠勤控除がある場合は、就業規則や給与規程に基づいて事業所が定めた日数から、欠勤した日数を引く。所定労働日数が21日で3日欠勤したなら18日になる。

日給制は各月の出勤日数による。

同じ職場でも、正社員が暦日数、パートが出勤日数という形で混ざる。日数の列を作るときに、どの数え方で入れたかを別の列に残しておくと、あとで見直せる。

暦日数で数えるなら、4月から6月はどの月も30日か31日になるので、欠勤がなければ必ず17日を超える。17日未満になるのは、欠勤控除のある人か日給制の人に限られる。ここを知っていると、確認する相手が絞れる。

対象者を絞る順番

作る順番を決めておくと、出し直しが減る。

7月1日時点の被保険者の一覧を先に作る。そこから、6月1日以降に資格取得した人と、6月30日以前に退職した人を落とす。この2つは入社日と退職日の列で機械的に判定できる。

=IF(入社日>=DATE(2026,6,1),"対象外",IF(退職日<=DATE(2026,6,30),"対象外","対象"))

残るのは、7月改定の月額変更届を出す人と、8月または9月に随時改定が予定されている人だ。こちらは日付では出ない。4月から6月に固定的賃金が変わった人の一覧を、昇給の記録から作る必要がある。

昇給の月から4か月目に随時改定がかかるので、4月昇給なら7月、5月昇給なら8月、6月昇給なら9月が改定月になる。この3つに当たる人を落とす。

順番を逆にして、報酬の集計から始めると、あとで対象外の人が混ざっていたことに気づく。名簿を確定してから数字を集める。

判定を式にする

日数をC列からE列、報酬をF列からH列に置く。区分をB列に入れる。

まず、その人に適用する基準の日数を出す。

=IF(B2="短時間労働",11,
 IF(B2="一般",17,
 IF(COUNTIF(C2:E2,">=17")>0,17,
 IF(COUNTIF(C2:E2,">=15")>0,15,0))))

短時間就労者だけ段階があるので、入れ子が1つ深くなる。0が返ったときは、どの月も使えないという意味になる。

基準を満たす月の数も要る。

=IF(I2=0,0,COUNTIF(C2:E2,">="&I2))

平均はここで出る。SUMPRODUCTで、基準を満たす月の報酬だけを足す。

=IF(J2=0,"従前のまま",ROUND(SUMPRODUCT((C2:E2>=I2)*F2:H2)/J2,0))

(C2:E2>=I2)の部分が、満たす月を1、満たさない月を0にする。それを報酬に掛けて足せば、対象の月だけの合計になる。これを月数で割る。

AVERAGEIFを使いたくなるが、条件の範囲と平均する範囲が別の行にある形では書きにくい。SUMPRODUCTのほうが素直に書ける。

10人で計算した結果

区分を混ぜた10人で試した。

3か月とも使えた人が3人。1か月だけで決まった人が1人。従前のままになった人が3人だった。

1か月だけで決まったのは、短時間就労者で日数が18日・14日・16日だった人だ。17日以上が4月の1か月しかないので、その月の150,000円がそのまま平均になる。3か月を平均すると133,333円で、17,000円近く違う。

日数が16日・15日・14日だった短時間就労者は、17日以上の月がないので15日の基準に落ちる。16日と15日の2か月で平均して124,500円になった。

13日・12日・14日の人は、15日にも届かないので従前のままだ。11日基準の短時間労働者でも、10日・9日・10日なら従前のままになる。

従前のままの人を「対象外」と混同しないほうがいい。届は出すが、額が変わらないというだけだ。

新しい額は9月から

決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されると書かれている。

だから、7月に出した届の結果が給与に出るのは9月または10月になる。保険料をいつの給与から変えるかは、自社の控除のやり方で決まる。当月控除か翌月控除かで1か月ずれる。

ここを間違えると、9月の給与で新旧が混ざる。毎年同じところでつまずくなら、給与計算の手順書に「9月分から新しい標準報酬月額」と書いておく。月次の作業として持たせる形は月次の締めの記事と同じだ。

踏んだ失敗

3か月を単純に平均していたことがある。5月に長く休んだ人の額が実態より低く決まり、翌年の算定まで戻らなかった。上の例でいえば61,500円のずれだ。支払基礎日数の列を作っていなかったことが原因で、そもそも外す月があると知らなかった。

支払基礎日数を出勤日数と取り違えたこともある。月給制の場合、支払基礎日数は暦日数や所定労働日数を使うので、実際に出た日数とは別になる。欠勤控除がある場合の数え方は給与規程で変わるので、自分の職場の数え方を先に確かめる。

4月に昇給した人の届を一緒に出してしまったこともある。その人は7月に月額変更届を出す対象だった。年金事務所から連絡が来て、出し直しになった。昇給の一覧を先に作ってから、算定基礎届の対象者を絞るようにした。

区分の列を作らずに始めた年もある。パートと一般が混ざった表で、全員を17日で判定していた。15日で救える人が漏れていた。

確認していないこと

通常の被保険者で3か月とも17日未満だった場合の扱いは、今回読んだページでは読み切れなかった。上の式では従前のままとして計算しているが、実務では該当する人がほとんどいないはずの場面なので、出たときは年金事務所に確認してほしい。

年間平均での算定という扱いがあると聞いているが、条件は確認していない。4月から6月の報酬が例年と大きく違う職場には別の手続きがある。

一時帰休があった場合の扱いも確認していない。

標準報酬月額の等級表への当てはめもここでは扱っていない。上の式が出すのは報酬の平均額までで、そこから等級を引くには年金機構の保険料額表を見る。等級の幅は健康保険と厚生年金で違う。

賞与の扱いも別になる。算定基礎届に入れるのは月々の報酬で、賞与は賞与支払届で処理する。

出典(2026年9月21日確認): 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」、厚生労働省「標準報酬月額の定時決定等における支払基礎日数の取扱いについて」(平成18年5月12日 庁保険発第0512001号)。

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