金種表をExcelで作るとき、1つ上の金種で割った余りを今の金種で割る式がよく使われる。2,000円札がなければ、この式は1円から99,999円のどの額でも合う。ところが2,000円札の列を足すと、1円から9,999円のうち5,000通りで、出した枚数の合計が元の額とずれる。6,000円が5,000円に、9,999円が10,999円になる。
もう1つ数えたのが、お釣りに備えて手元に置く札と硬貨の数だ。1円から9,999円のどの額のお釣りでも出せる最少の組みは20枚で、合計はちょうど9,999円になる。19枚で全部を出せる組みはなかった。
計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で確認、2026年10月6日。表の金種表に、例の10人と乱数で作った30人分の額を2,000円札のあり・なしを切り替えながら6回入れ、Pythonで同じ規則を組んだ結果と比べると、全部の枚数が一致した。20枚が最少であることは、Pythonで19枚以下の組み合わせを全部試して確かめた。札と硬貨の種類は日本銀行の現在発行されている銀行券・貨幣、印刷する枚数は日本銀行の銀行券発注高、窓口の手数料は三菱UFJ銀行のその他手数料で、どれも2026年10月6日に確認した。
金種表の式に2,000円札を足したら、合計が合わなくなった
検索で上に出る金種表の作り方の多くは、1万円札から順に、こう組んでいる。A2に金額があるとする。
1万円札 =INT(A2/10000)
5千円札 =INT(MOD(A2,10000)/5000)
千円札 =INT(MOD(A2,5000)/1000)
500円玉 =INT(MOD(A2,1000)/500)
1つ上の金種で割った余りが、今の金種に回る残りになる、という考え方だ。2,000円札がない並びでは、これで合う。
ここに2,000円札の列を挟んで、同じ形で書き足す。2,000円札は=INT(MOD(A2,5000)/2000)、千円札は=INT(MOD(A2,2000)/1000)になる。6,000円を入れると、5千円札が1枚。2,000円札はMOD(6000,5000)の1,000円を2,000で割って0枚。千円札はMOD(6000,2000)が0なので0枚。足すと5,000円で、1,000円足りない。
7,000円では逆に多く出る。5千円札1枚のあとの残りは2,000円なので、2,000円札1枚で終わるはずが、千円札の列はMOD(7000,2000)の1,000円を見て1枚と答える。合計8,000円だ。
| 入れた額 | 式で出した合計 | 差 |
|---|---|---|
| 5,000円 | 6,000円 | +1,000円 |
| 6,000円 | 5,000円 | −1,000円 |
| 9,999円 | 10,999円 | +1,000円 |
| 56,789円 | 55,789円 | −1,000円 |
ずれ方には規則がある。千円の位が5から9の額は全部ずれ、0から4の額はずれない。1円から9,999円なら半分の5,000通り、1円から99,999円でも半分の50,000通りだった。どれも1,000円ちょうどの過不足で、千円の位が奇数なら多く、偶数なら少なく出る。
なぜ2,000円札でだけ狂うのか。5,000は2,000で割り切れない
1つ上の金種で割った余りを使う式は、1つ上の金種が今の金種で割り切れるときだけ正しい。1万は5千で、5千は千で、千は500で割り切れる。だから「5千円札を取ったあとの残り」と「5千で割った余り」が同じ数になる。
2,000円札を挟むと、5,000円の次が2,000円になる。5,000は2,000で割り切れないので、2,000で割った余りを見る千円札の列は、5千円札で取った5,000円のうちの1,000円まで残りとして数えてしまう。千円の位が5以上のとき、つまり5千円札が出るときにだけずれるのはこのためだ。
配布した表では、MODをやめて、元の額からここまでに出した分を引いた残りを割っている。C列が1万円札で、6行目に金種の額が入っている。
5千円札 =INT(($B7-SUMPRODUCT($C$6:C$6,$C7:C7))/D$6)
千円札 =INT(($B7-SUMPRODUCT($C$6:E$6,$C7:E7))/F$6)
SUMPRODUCTで、左の列の枚数×金種を足している。右へコピーすれば範囲が1列ずつ広がる。金種の並びがどうであっても、残りを順に割るので合計はずれない。
N列には検算を置いた。枚数×金種を足して金額を引いた差で、0でなければ赤くなる。1,234.5円のように円未満が混ざっても、ここに−0.5と出る。給与の計算で端数が残った額をそのまま貼ると起きるので、私はこの列を消さずに使っている。端数の出どころは給与の端数処理の記事に書いた。
2,000円札を使うかは、表のB4で選ぶ。初めは「いいえ」にした。日本銀行のページでは二千円券は今も発行されている券に入っているが、令和8年度の銀行券発注高は一万円券13.7億枚、五千円券1.8億枚、千円券13.0億枚で、二千円券は載っていない。窓口で2,000円札を何枚も頼めるかは確かめていない。
合計を一度に崩すと、10人分の封筒に分けられない
金種表で多い失敗がもう1つある。払う相手が複数いるのに、合計額だけを金種に分けて銀行で用意することだ。
架空の10人に日払いで現金を渡すとする。額は5,445円から9,570円で、合計は80,005円。1人ずつ札と硬貨に分けて金種ごとに足すと、配布した表ではこうなった。2,000円札は使っていない。
| 金種 | 1人ずつ分けて足す | 合計を一度に崩す |
|---|---|---|
| 1万円札 | 0枚 | 8枚 |
| 5千円札 | 10枚 | 0枚 |
| 千円札 | 24枚 | 0枚 |
| 500円玉 | 7枚 | 0枚 |
| 100円玉 | 21枚 | 0枚 |
| 50円玉 | 3枚 | 0枚 |
| 10円玉 | 24枚 | 0枚 |
| 5円玉 | 3枚 | 1枚 |
| 全部 | 92枚 | 9枚 |
合計を一度に崩すと、1万円札8枚と5円玉1枚の9枚で済む。ところがこれでは、8,580円の封筒も9,240円の封筒も作れない。崩した額は合っているのに、足りない枚数を数えると91枚になる。
賃金は通貨で全額を直接払うと労働基準法第24条にある(2026年10月6日確認)。現金で渡すなら、1人ずつの封筒が1円まで合っていないといけない。用意する枚数は、1人ずつ分けてから金種ごとに足す。表の38行目がその合計で、39行目に一度に崩した枚数、40行目にその差を出している。
銀行の窓口で金種を指定して下ろすと、11枚から770円
1人ずつ分けた92枚を銀行で用意するとき、三菱UFJ銀行の窓口の「円貨両替/金種指定の現金払い戻し」は、口座があれば10枚まで無料、11枚から500枚で770円、501枚からは500枚ごとに770円が足される。枚数は持ち帰る枚数で数える。92枚なら770円だ。
2,000円札を使うと、同じ10人で82枚に減る。千円札2枚が2,000円札1枚になる人が出るからだ。ただし手数料は11枚から500枚まで同じ額なので、この人数では変わらない。
日払いの額が5,000円から9,999円に散らばっていると、2,000円札なしで1人平均10.5枚になる。平均どおりなら48人分で500枚を超え、手数料が1,540円になる計算だ。硬貨の入金や両替の手数料の刻みは、硬貨の枚数制限の記事で並べている。
お釣りを全部出せる最少の枚数は20枚、合計9,999円
レジや会費の箱に最初に入れておくお釣りを考えた。1円から9,999円のどの額でも出せるようにするなら、何枚あればよいか。
答えは、1が付く金種を4枚ずつ、5が付く金種を1枚ずつだった。1円玉4枚、5円玉1枚、10円玉4枚、50円玉1枚、100円玉4枚、500円玉1枚、千円札4枚、5千円札1枚。20枚で9,999円になる。

理由は1円の位で考えると分かる。4円を出すには1円玉が4枚要る。5円玉では大きすぎる。9円を出すには、1円玉4枚に5円玉1枚を足すしかない。10円の位、100円の位、千円の位も同じ形になる。Pythonで19枚以下の組みを全部試したところ、1円から9,999円を全部出せる組みはなく、20枚の組みもこの1通りだけだった。
9,999円を1回で出すには、この20枚が全部要る。1円から9,999円のうち、1回に20枚が要る額は9,999円の1つだけで、平均は10.0枚だった。
1枚でも欠けると穴が開く。1円玉を3枚にすると、出せる額は7,999通りに減る。下1桁が4か9の額、2,000通りが出せなくなる。
2,000円札を入れると19枚で済む。千円の位を、2,000円札1枚と千円札2枚で受け持つ。2,000円札2枚と千円札1枚でもよく、こちらは合計10,999円になる。どちらも19枚だ。2,000円札を使う並びにすると、1円から9,999円の1回の枚数は最大18枚、平均9.2枚に下がる。
20枚のうち硬貨は15枚で、日本銀行のページの量目で足すと56.05グラムになる。窓口で金種を指定して20枚を用意すると、10枚を超えるので770円かかる。三菱UFJ銀行の窓口の両替は1人1日1回10枚まで無料と書かれているので、10枚ずつ2日に分ければ無料の範囲に入る読み方になる。窓口で試してはいない。
忘年会の会費箱でも同じ数え方になる。会費5,500円で全員が1万円札を出すと、お釣りの4,500円は千円札4枚と500円玉1枚で5枚、30人なら150枚を用意することになる。会費を5,000円にすれば、お釣りは5千円札1枚ずつで済む。端数を誰が持つかは割り勘の記事で数えた。
配布した表の使い方
1_金種表のA列に名前、B列に払う額を入れる。30人まで入る。B4で2,000円札を使うかを選ぶ。C列からL列に1人ずつの枚数が出て、38行目が銀行で用意する枚数になる。右の欄に、紙幣と硬貨の枚数、1人あたりの枚数、窓口で金種を指定したときの手数料が出る。

2_お釣りの備えは、上の20枚と19枚の組み。B19に出したいお釣りの額を入れると、どの札と硬貨を出すかが出る。B列とD列の枚数は変えてよい。ただ、2,000円札を2枚以上入れた組みでは、大きい金種から順に出す方法だと、出せる額を「出せない」と判定することがある。5千円札1枚と2,000円札3枚から6,000円を出すときがそうだ。
3_MODの式は、よく見かける式に2,000円札の列を足したときにずれる額を数えるシートで、入力は要らない。1から99,999までの連番は、隠したシートの行番号から作っている。INDIRECTで作ると入力のたびに全部を計算し直して重くなったので、やめた。
確かめていないこと
三菱UFJ銀行以外の銀行で、窓口で金種を指定して下ろすときの手数料は確認していない。ゆうちょ銀行の窓口の硬貨の料金は、硬貨の枚数制限の記事で確かめた範囲にとどまる。
銀行の窓口で2,000円札を指定して何枚まで出してもらえるかは確認していない。発注高の資料からは、二千円券が新しく刷られていないことまでしか分からない。
ATMで硬貨を引き出せるかどうかは確認していない。この記事の手数料は、窓口で金種を指定する場合だけを見ている。
20枚が最少という結果は、1回のお釣りを出す場合の話だ。何人にも続けてお釣りを出すと、手元の組みは崩れていく。客の払い方の分布がないと必要な枚数は決まらないので、ここは数えていない。



