割り勘の端数は、合計を人数で割った余りの人数だけ1円多く払ってもらえば、1円まで合う。47,800円を9人で割ると5,311円と余り1円なので、1人が5,312円、8人が5,311円。集まる額は47,800円ちょうどで、払う額の差は誰と誰の間でも1円だ。
お札で集めたくて千円未満を切り捨て、足りない分を幹事が持つやり方もよく見る。架空の100件で数えると、46件で幹事の負担が割り算のままの額の2倍を超えた。いちばん重かったのは19人で74,907円の会で、ほかの18人が3,000円ずつ、幹事は20,907円。5.3人分になる。
計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で確認、2026年10月6日。100件は、1人3,000円から7,000円、5人から20人の会を乱数で作った架空のデータだ。表の結果はPythonで同じ規則を組んで出し直し、集める単位5通りのどれでも集計が一致した。会社が費用を出すときの扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」を2026年10月6日に読んで書いた。
割り勘で端数が出たら、割った余りの人数だけ1円多く払う
Excelでは2つの式で足りる。B4に合計、B5に人数を入れる。
少ないほうの額 =INT(B4/B5)
1円多く払う人の数 =MOD(B4,B5)
47,800円を9人なら、INTが5,311、MODが1。1人だけが5,312円を払う。9人で割った余りは0から8のどれかなので、1円多く払う人は多くても8人で、全員が払わない場合もある。合計との差は出ない。
1円単位で割り切れる会は、架空の100件のうち6件しかなかった。人数で割り切れるかどうかは、だいたい人数分の1の確率になる。10人の会なら10回に9回は端数が出る。
1円多い人を誰にするかは、表では決めていない。私はくじで決めるより、幹事以外から年の上の順に割り当てるほうが早いと思う。1円の差でも、毎回同じ人に寄せないようにしている。
1円まで集めると小銭が増える。5,311円を払う人は1円玉が1枚要る。硬貨は同じ種類なら20枚までしか支払いに使えないことは、硬貨の枚数の記事に書いた。割り勘で20枚を超えることはまずないが、集めた小銭をATMで預けるときに料金のほうが高くなることがある。
千円単位で集めて残りを幹事が持つと、幹事は何人分払うのか
お札で集めたいとき、1人あたりを千円単位で切り捨て、足りない分を幹事が出す。少額の端数なら幹事が持てばよい、という感覚で選ばれやすい。
幹事の負担は、合計からほかの人が払った分を引けば出る。
ほかの人の額 =FLOOR(B4/B5,1000)
幹事の負担 =B4-(B5-1)*FLOOR(B4/B5,1000)
47,800円を10人で割ると4,780円。ほかの9人が4,000円ずつ払うと36,000円で、幹事は11,800円を出す。割り算のままの4,780円の2.47倍だ。9人なら5,311円が5,000円になり、幹事は7,800円で1.47倍。人数が1人違うだけで、幹事の持ち出しは4,000円変わった。
仕組みは単純で、ほかの人が1人払うたびに、切り捨てた額が幹事に回る。切り捨ては1人あたり最大999円なので、幹事が余分に持つ額は最大で999円×(人数−1)。1人あたりが千円の境目のすぐ下にあり、人数が多い会ほど重くなる。19人で74,907円の会は1人3,942円で、942円が18人分、16,956円が幹事に乗った。
架空の100件で集める単位を変えると、100円単位までは幹事の負担が最大1.46倍で収まった。500円単位で平均1.51倍、2倍を超えたのは14件。1,000円単位で平均2.17倍、2倍を超えたのが46件、1.5倍を超えたのは72件だった。
幹事を若手に回す職場なら、いちばん給料の少ない人が2人分を払う形になる。私はこのやり方を選ばない。
全員を千円単位で切り上げると、余りは平均6,252円
逆に、1人あたりを千円単位で切り上げて全員から同じ額を集めると、幹事の持ち出しは0になる。代わりに余りが出る。
47,800円を9人なら、5,311円が6,000円になって54,000円集まる。余りは6,200円。1人あたり689円ほど多く払った計算で、返すのか、二次会に回すのか、次の会に繰り越すのかを決めておかないと後で聞かれる。
架空の100件では、余りの平均が6,252円、最大が18,999円だった。最大は19人の会で、1人999円ずつ多く集めたことになる。切り捨てと同じで、人数が多いほど大きくなる。
お札で集めても余りを千円未満にする。5,000円の人と6,000円の人を混ぜる
全員を同じ額にしなければ、お札だけでも余りは千円未満に収まる。合計を先に千円単位で切り上げ、その千円の数を人数に配る。
47,800円を切り上げると48,000円。千円が48枚あり、9人で割ると5枚ずつで3枚余る。3人が6,000円、6人が5,000円を払えば48,000円で、余りは200円だ。
集める額 =CEILING(B4,1000)
多く払う人数 =MOD(CEILING(B4,1000)/1000,B5)
余りが千円未満になるのは、人数で割る前に合計のほうを切り上げているからだ。1人ずつ切り上げると人数分の端数が積み上がるが、合計を1回だけ切り上げれば端数は1回分で済む。架空の100件で、余りの平均は502円、最大は999円だった。請求書の消費税も同じ理屈で、税率ごとに1回だけ端数処理する。行ごとに丸めた場合の差は消費税の端数処理の記事で数えた。

9人で47,800円の会を、配布した表の1枚目に入れるとこうなる。
| 集め方 | 1人の最大負担 | 集まる額 | 余り |
|---|---|---|---|
| 1円まで合わせる | 5,312円 | 47,800円 | 0円 |
| 千円未満を切り捨て、残りを幹事 | 7,800円 | 47,800円 | 0円 |
| 千円単位で切り上げ、全員同じ額 | 6,000円 | 54,000円 | 6,200円 |
| 5,000円と6,000円を混ぜる | 6,000円 | 48,000円 | 200円 |
混ぜるやり方の弱いところは、誰が6,000円を払うかを決めなければならないことだ。差が千円あると、1円のときのようにくじでは済まない。そこで役職で差をつける割り勘に話が移る。
部長1.5倍、新人0.7倍の傾斜割り勘は、各自を丸めて足すと合わない
部長1.5、課長1.2、一般1.0、新人0.7の重みで、10人の会を52,370円で割った。重みを足すと10.3で、一般の人の1人分は5,084.47円になる。
各自の額をROUNDで丸めて足すと、合計に合わない。1円単位で丸めると52,367円で3円足りない。100円単位で丸めると52,500円で130円余る。
架空の100件でも数えた。役職の人数を乱数で変えた4人から17人の会で、こちらはPythonで数えている。
| 各自を丸める単位 | 合計と一致 | 足りない件数 | 足りない額の最大 |
|---|---|---|---|
| 1円 | 11件 | 40件 | 5円 |
| 100円 | 0件 | 45件 | 398円 |
| 1,000円 | 0件 | 49件 | 5,336円 |
1円単位で丸めても、合計と合ったのは100件のうち11件だった。四捨五入は切り上げと切り捨てが半々に出るので、足すとどちらにずれるかは会ごとに違う。足りない側に出た会では、その分を幹事が持つことになる。
余りの大きい順に1単位ずつ配ると、合計とぴったり合う
合わせ方はこうした。全員を単位で切り捨て、合計に足りない分を単位の数に直し、切り捨てで消えた額の大きい人から1単位ずつ足す。議席の配分の計算で知られる最大剰余法と同じ考え方だ。
52,370円を100円単位で集めるとする。集める額は52,400円。全員を切り捨てると部長7,600円、課長6,100円、一般5,000円、新人3,500円で、足すと51,800円。600円、つまり6単位足りない。切り捨てで消えた額は一般が84.47円、新人が59.13円、部長が26.70円、課長が1.36円。大きい順に一般5人と新人1人に100円ずつ足して、52,400円になる。余りは30円だ。
| 役割 | 割り算のまま | 各自をROUNDで丸めた額 | 合わせた額 |
|---|---|---|---|
| 部長 | 7,626.70円 | 7,600円 | 7,600円 |
| 課長 | 6,101.36円 | 6,100円 | 6,100円 |
| 一般 | 5,084.47円 | 5,100円 | 5,100円 |
| 新人 | 3,559.13円 | 3,600円 | 3,600円と3,500円 |
新人の2人は余りが同じなので、1単位をどちらに足すかで割れた。表では上の行の人を先にしている。2人とも3,600円にすると余りが130円に増え、2人とも3,500円にすると70円足りない。ここは迷ったが、1単位ずつ配る形を崩さないほうを選んだ。役職の高い人を上の行に並べておけば、同じ余りのときにその人が先に払う。10円単位にすれば、この会では新人は2人とも3,560円で、合計は52,370円ちょうどになった。
Excelで組むときに1つ引っかかった。切り捨てで消えた額を小数のまま比べると、同じはずの2人がわずかな誤差で順番を入れ替えることがある。そこで重みを100倍して整数にし、余りを整数のまま出した。
重み×100 =ROUND(C9*100,0)
切り捨てた額 =INT($B$4*H9/($H$30*$B$5))*$B$5
余りの大きさ =$B$4*H9-I9*$H$30
順位はCOUNTIFで自分より大きい余りを数え、同じ余りの人はCOUNTIFSで行の番号を比べて決めている。乱数で作った30通りの会を表に入れ、Pythonで同じ規則を組んだ結果と比べると、30通りとも全員の額が一致した。架空の100件のどれでも、合わせた額の余りは単位より小さかった。1人ずつ丸めてから足すとずれるのは、給与の端数処理で日ごとに丸めたときと同じ形だ。
会社が忘年会の費用を出すとき、1人1万円の基準は社内だけの会には使えない
割り勘の一部を会社が出す職場もある。交際費の扱いでよく聞く「1人1万円以下なら交際費にならない」という基準は、社内だけの忘年会には当てはまらない。
国税庁のタックスアンサーNo.5265では、飲食のための費用で、参加した人の数で割った額が10,000円以下のものを交際費等から除くとしている。令和6年3月31日以前に出した分は5,000円以下だった。ただし、専らその法人の役員、従業員やその親族を接待するために出すものは、この除外から外れている。取引先が1人もいない忘年会は、この基準で判定するものではない。
同じページには、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用も交際費等から除く、とある。社内の忘年会がこちらに当たるかどうかは、そのページだけでは判断できなかった。10,000円の判定は、税抜経理か税込経理か、その会社の経理の方式で出した額で行う、とも書かれている。
私は会社の補助が入る会では、割り勘の表とは別に、会社が出した額と参加者の数を残している。経理から聞かれるのは、たいていその2つだ。
確かめていないこと
会社の補助と参加者の自己負担が混ざった会で、1人10,000円の判定にどちらの額を使うかは確認していない。タックスアンサーには、法人が支出する金額を参加者の数で割るとだけ書かれている。
社内の忘年会の費用が、福利厚生費として扱えるか、参加した社員の給与として課税されるかの条件は確認していない。所得税の通達を読む必要がある。
送金アプリの割り勘機能が端数をどう扱うかは確認していない。手元で同じ会を入れて試していない。
架空の100件は、1人あたりの額と人数を一様な乱数で作っている。実際の忘年会の額の分布は調べていないので、46件という数は、千円単位で切り捨てたときに半分近くの会で幹事が2人分を払いうる、という目安にとどまる。



