雇用保険の資格取得届と喪失届。期限の数え方と添付書類が逆になっている

2026-09-21仕事の型
雇用保険の期限と加入判定(Excel)をダウンロード

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雇用保険の資格取得届は、雇った日の属する月の翌月10日まで。資格喪失届は、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内。どちらも10という数字が出てくるが、数え方が違う。

取得のほうは月ごとに区切るので、9月1日に入社しても9月30日に入社しても期限は同じ日になる。喪失のほうは離職日から数えるので、1日ずれれば期限も1日ずれる。同じ感覚で処理すると、喪失のほうが先に切れる。

9月30日に辞めた人の期限。離職日が9月30日、資格喪失日が10月1日、起算日が10月2日、10日目の10月11日は日曜なので、実際の期限は10月13日

以下、条文はe-Gov法令検索、手続きの扱いは厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 第2編 被保険者資格の取得・喪失編 令和8年8月版」で2026年9月21日に確かめた。日付の計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。個別の判断は所轄のハローワークに聞いてほしい。

9月1日入社と9月30日入社は、期限が同じ日になる

雇用保険法施行規則第6条第1項が、資格取得届は「当該事実のあつた日の属する月の翌月十日までに」提出するとしている。月がひとかたまりなので、その月のどこで入社しても期限は翌月10日だ。

2026年9月に入社した人で計算すると、1日入社も30日入社も期限は10月13日になった。10月10日が土曜、11日が日曜、12日がスポーツの日で、13日の火曜まで動く。

一方、喪失届は第7条第1項で「当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内」となっている。被保険者でなくなる日は離職日の翌日なので、9月30日に辞めた人なら喪失日が10月1日、起算日が10月2日、10日目が10月11日。ここも日曜と祝日で押されて10月13日になる。

同じ9月でも、9月1日に辞めた人の期限は9月14日だった。9月30日に辞めた人とは29日も離れている。月末にまとめて処理していると、月初に辞めた人の分はとっくに切れている。

雇用保険の期限の表。9月1日入社も9月30日入社も取得届の期限は10月13日、9月1日離職は9月14日、9月30日離職は10月13日

期限が土日祝に当たったら、翌開庁日まで延びる

行政機関の休日に関する法律第2条が、届出の期限が行政機関の休日に当たるときは休日の翌日を期限とみなす、としている。行政機関の休日は同じ法律の第1条で、土曜と日曜、国民の祝日、12月29日から1月3日までと決まっている。

ExcelではWORKDAYで書ける。

=WORKDAY(DATE(YEAR($B3),MONTH($B3)+1,10)-1,1,休日!$A$3:$A$200)

期限の前日から1営業日進めると、期限が開庁日ならその日、休日なら次の開庁日が返る。祝日の一覧は別のシートに置いて、そこに12月29日から1月3日までを足した。祝日の判定を内閣府のCSVから作った記事と同じやり方だ。

ここで一度つまずいた。祝日シートのA列に注意書きを書いていたら、WORKDAY#VALUE!を返した。休日の範囲に文字が混ざると計算できない。注意書きはD列に移した。

12月25日に辞めた人で試すと、喪失日が12月26日、期限が2027年1月5日になる。年末年始の休みをまたぐが、1月5日は火曜なのでずれない。年をまたぐ処理は、期限のほうが先に来ることがあるので早めに出しておく。

添付書類は、取得と喪失で向きが逆

取得届は、原則として添付書類が要らない。手引きが挙げている要る場合は6つで、いちばん忘れやすいのが「その事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合」だ。2人目からは不要なのに、1人目だけ要る。

残りは、提出期限を過ぎたとき、過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があったとき、労働保険料を滞納しているとき、著しい不整合がある届出のとき、労働関係法令に著しい違反があった事業主の届出のとき。滞納が条件に入っているのは、労働保険の年度更新を落としていると取得の手続きにまで響くということだ。

このほかに、従業員を兼ねる取締役、事業主と同居している親族、在宅勤務者については、雇用関係を確かめる書類が別に要る。在宅勤務者が並んでいるのは見落としやすい。

社会保険労務士の審査事項の付記がある届出か、労働保険事務組合を通す届出なら、要るのは2つだけになる。届出期限を著しく徒過した場合と、ハローワークで確認の必要がある場合だ。手引きは「著しく」に括弧書きで「原則として雇入れ日から6か月」と数字を入れている。

喪失届は逆だ。施行規則第7条第1項は、資格喪失届に「労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、登記事項証明書」などを添えて提出しなければならない、としている。条文の側では添えるのが原則で、省略できるほうが例外に置かれている。

離職票は要らないと言われても、59歳以上なら出す

離職証明書は、本人が離職票の交付を希望しなければ添えなくていい。施行規則第7条第3項にそう書いてある。

ただし同じ項の但書で、離職の日において59歳以上である被保険者については、この限りでない、としている。手引きも「59歳以上の離職者は本人が希望するしないにかかわらず必ず離職票の交付が必要です」と念を押している。

60歳ではなく59歳で切っている理由は、条文にも手引きにも書かれていない。60歳になってから高年齢雇用継続給付を受けるときに離職前の賃金の記録が要る、という説明を見かけるが、出典は確認していない。理由はどうあれ、本人が転職先を決めていて「要りません」と言っても、ここは聞かない。

配った表では、離職日の年齢を入れると「必ず交付(59歳以上)」と出るようにした。

もうひとつ、離職証明書を出さなかった場合でも、あとから離職者に求められたら応じる必要がある。退職後に予定が変わることはあるので、賃金台帳と出勤簿は捨てずに置いておく。

辞めていなくても、喪失届を出す場面が4つある

手引きは、離職以外で資格喪失届を出す場合を挙げている。被保険者資格の要件を満たさなくなったとき、法人の役員に就任したとき、兼務役員が従業員としての身分を失ったとき、他の事業所へ出向したとき。

いちばん抜けやすいのが1つ目だ。シフトを減らして週の所定労働時間が20時間を割ったら、在籍したまま被保険者ではなくなる。喪失原因の区分でも「週の所定労働時間が20時間未満」が離職の欄に並んでいる。辞めていないので退職の処理は走らず、給与計算の担当者が気づかないまま保険料だけ引き続けることになる。

役員就任も同じで、従業員を兼ねる役員としてハローワークに認められた場合を除き、被保険者ではなくなる。昇格の稟議は回ってくるが、雇用保険の話は書いていない。

週20時間は、月や年で決めていると換算が要る

加入するかどうかは、週の所定労働時間が20時間以上かと、31日以上の雇用見込みがあるかで決まる。雇用保険法第6条の適用除外にそう書いてある。

週の所定労働時間を出して、20時間以上で31日以上の見込みなら被保険者になる。20時間未満でも65歳以上で2か所なら本人の申出で入れる

問題は、所定労働時間を週で決めていない会社だ。手引きは換算の仕方を決めている。1か月単位なら1か月の所定労働時間を12分の52で除す。1年単位なら1年の所定労働時間を52で除す。

計算すると、月80時間は週18.46時間で入らない。月90時間は週20.77時間で入る。分かれ目は月86.67時間、年1,040時間になる。月85時間と月90時間のどちらで契約するかで、扱いが変わる。

数える週にも決まりがある。祝祭日とその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇のような特別休日を含まない週で数える。盆と正月のある月をそのまま12で割ると、実態より短く出る。

なお週20時間という数字は社会保険にも出てくるが、中身は別のものだ。社会保険のほうは2026年10月に賃金要件が外れるので、同じシフトでも片方だけ加入になる組み合わせが増える。

65歳以上で2か所に勤めている人は、1か所あたり週5時間以上20時間未満で合計20時間以上なら、本人がハローワークに申し出て被保険者になれる。2022年1月に始まった仕組みで、申出は本人が住所または居所を管轄するハローワークに出す。事業主が代わりに出すものではない。入ったあとは任意でやめられない。

出し先はハローワークだけではない

資格取得届は、施行規則第6条第2項で年金事務所を経由して出せる。同じ条の第3項では、健康保険と厚生年金の資格取得届に準ずる様式なら、労働基準監督署長を経由しても出せるとしている。喪失届も第7条第2項で年金事務所を経由できる。

入社の手続きで年金事務所へ行くなら、そこでまとめて出せるということだ。ハローワークと年金事務所が離れている土地では、往復が1回減る。

資本金が大きい特定法人は、喪失届を電子申請で出すことが義務になっている。第7条第7項に書いてある。電気通信回線の故障や災害で使えないときだけ紙が認められる。自社が特定法人に当たるかどうかは資本金などで決まるので、そこは確認していない。心当たりがあれば所轄に聞くのが早い。

退職の手続き全体は退職者が出たときの5日・10日・1か月に書いた。雇用保険の10日は、社会保険の5日より後に来るので油断しやすいが、離職票の遅れは本人の生活に直接響く。

動作確認: Microsoft 365のExcel(バージョン16) / Windows 11 / 2026-09-21確認

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