年収500万円で独身の会社員が2026年中にふるさと納税をするなら、2,000円の負担で済む上限は57,833円になる。2025年の寄附なら61,405円だったので、3,572円下がった。所得税は減税されたのに、ふるさと納税の上限は下がる。
下がる幅がいちばん大きいのは年収1,297万円から1,300万円の人で、49,946円減る。年収と家族の組み合わせ245通りを計算すると、下がったのは11通りで、上がったところは1つもなかった。
計算のしかたは総務省の税金の控除についてのページと、e-Gov法令検索の地方税法第37条・第37条の2で確かめた。2026年の控除額は国税庁の令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし、2025年の控除額は令和7年分 年末調整のしかた、住民税の側は総務省の令和8年度地方税制改正(案)についてと大阪市の令和9年度から実施される市民税・府民税の税制改正のページから取った。どれも2026年10月6日に確認した。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で確認、2026年10月6日。
配布している表に年収と家族を入れると、2025年と2026年の上限が並んで出る。寄附する額を入れれば、確定申告をしたときの実質負担も出る。
ふるさと納税の上限はいくらか。2026年の寄附で年収と家族別に出した
社会保険料は年収から見積もった。40歳未満、協会けんぽ東京支部、賞与なしとして、厚生年金9.15%、健康保険と子ども・子育て支援金で5.04%、雇用保険0.5%を本人負担に置いた。料率はボーナスの手取りの記事で確かめたものだ。
| 年収 | 独身・共働き | 夫婦 | 共働き+大学生 | 夫婦+高校生 | 夫婦+大学生と高校生 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 28,479円 | 20,116円 | 14,977円 | 11,200円 | 2,433円 |
| 400万円 | 42,449円 | 34,086円 | 29,728円 | 25,723円 | 12,377円 |
| 500万円 | 57,833円 | 50,059円 | 45,112円 | 41,107円 | 28,385円 |
| 600万円 | 77,773円 | 69,502円 | 62,616円 | 57,668円 | 43,769円 |
| 700万円 | 108,812円 | 86,872円 | 83,864円 | 78,601円 | 67,321円 |
| 800万円 | 131,002円 | 121,517円 | 118,067円 | 112,031円 | 86,672円 |
| 1,000万円 | 183,862円 | 174,377円 | 170,927円 | 164,891円 | 151,956円 |
| 1,200万円 | 249,034円 | 249,034円 | 235,504円 | 239,112円 | 225,581円 |
夫婦は配偶者控除を受ける場合、高校生は16歳から18歳、大学生は19歳から22歳の扶養親族として数えた。15歳以下の子は扶養控除がないので、何人いても上限は変わらない。
表にない「共働き+高校生1人」は、全部の年収で夫婦の列と同じ額になった。配偶者控除も高校生の扶養控除も、所得税38万円・住民税33万円でそろっているからだ。年収1,200万円で夫婦と独身が同じなのは、本人の合計所得が1,000万円、給与だけなら年収1,195万円を超えると配偶者控除がなくなるため。
減税なのに上限が下がるのはなぜか
ふるさと納税で戻る額は3つに分かれる。所得税から(寄附−2,000円)×所得税率、住民税の基本分として(寄附−2,000円)×10%、残りを住民税の特例分が埋める。特例分の割合は90%から所得税率を引いた率で、復興特別所得税の分を入れると「90%−所得税率×1.021」になる。
上限を決めているのは特例分だ。地方税法第37条の2第11項は、特例分を住民税の所得割の20%までに抑えている。所得割の20%を特例分の割合で割り、2,000円を足した額が上限になる。
上限=所得割×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円
所得税率が下がると、割る数が大きくなる。所得割が同じでも、上限は小さくなる。所得税で戻る分が減り、その穴を住民税の特例分で埋めようとするが、特例分は所得割の20%で頭打ちだからだ。
2026年は所得税の基礎控除が変わった。合計所得489万円以下なら104万円で、336万円超489万円以下の人は2025年の68万円から36万円増えた。住民税の基礎控除は43万円のままで、所得割は年収220万円以上なら去年と変わらない。年収500万円の独身だと、所得税の課税所得は214万5千円から178万5千円に下がり、195万円の境目を下回って税率が10%から5%になる。割る数は79.79%から84.895%に上がり、所得割237,000円の20%を割った上限が3,572円減った。
ここで迷ったのは、条文の「所得税率」が実際の所得税の税率なのかどうかだった。第37条の2第11項を読むと、使うのは住民税の課税所得から「人的控除差調整額」を引いた額に当てた税率だ。その人的控除差調整額には、所得税の基礎控除から48万円を引いた額が足される。2026年の年収500万円なら56万円で、ほかの5万円と合わせて61万円。住民税の課税所得239万5千円から61万円を引くと178万5千円で、所得税の課税所得とぴったり同じになった。所得税の減税がそのまま上限に響く作りになっている。
去年の上限で寄附すると、負担はいくら増えるか
去年のサイトの試算や去年の寄附額をそのまま使うと、上限を超える人が出る。配布した表で、確定申告をした場合の実質負担を出した。
年収500万円の独身が、2025年の上限だった61,405円を2026年に寄附すると、実質負担は5,032円になった。所得税から3,033円、住民税の基本分で5,941円、特例分は所得割の20%の47,400円で止まる。上限を3,572円超えた分には特例分が付かないので、負担が3,032円増える。
年収1,300万円の独身が、2025年の上限327,394円を寄附すると、実質負担は35,222円だった。上限の277,448円を49,946円超えていて、超えた分は所得税の23.483%と基本分の10%しか戻らない。
年収が同じでも、その年の控除の決まりで上限は変わる。私は寄附の前に、その年の決まりで計算し直している。
家族の数え違いでも負担は増える。年収500万円で配偶者控除を受けている人が、ポータルサイトの「独身または共働き」の列を見て57,833円を寄附すると、上限は50,059円なので実質負担は8,599円になった。共働きかどうかは、配偶者の収入が配偶者控除の範囲を超えているかで決まる。2026年の範囲は配偶者の給与収入136万円までだ。
上限は年収に比例しない。1万円の差で5万円変わるところがある
年収を1万円ずつ動かして、300万円から1,500万円まで1,201行を計算した。独身で2026年の上限が2025年より下がったのは63行で、4か所に固まっている。
| 年収(独身) | 2025年の寄附 | 2026年の寄附 | 差 |
|---|---|---|---|
| 476万〜525万円 | 57,470〜65,466円 | 54,134〜61,650円 | −3,336〜−3,816円 |
| 669万〜673万円 | 102,114〜102,977円 | 89,304〜90,056円 | −12,810〜−12,921円 |
| 1,080万〜1,083万円 | 214,938〜215,810円 | 205,564〜206,397円 | −9,374〜−9,413円 |
| 1,297万〜1,300万円 | 326,364〜327,394円 | 276,576〜277,448円 | −49,788〜−49,946円 |
どれも、2026年に所得税率が1段下がった年収だ。476万〜525万円は10%から5%、669万〜673万円は20%から10%、1,080万〜1,083万円は23%から20%、1,297万〜1,300万円は33%から23%に下がる。基礎控除が36万円増えた層は下がる幅が広く、4万円しか増えなかった層は4〜5万円の狭い幅だけが下がる。
裏返すと、税率の境目では年収が少し増えるだけで上限が跳ねる。2026年の寄附で、独身の年収525万円は61,650円、526万円は65,667円で、1万円の差で4,017円上がった。1,300万円は277,448円、1,301万円は327,714円で、50,266円上がった。所得割はほぼ同じなのに、割る数が66.517%から56.307%に下がるからだ。
境目の近くにいる人は、12月の給与と賞与が出るまで上限が決まらない。私なら、その年は下の側の上限で寄附を止めておく。
総務省の目安と、この表の計算は千円単位で合ったか
式が合っているかを確かめるため、総務省の資料「ふるさと納税制度とは」(2022年4月)の千円単位の目安と、この表で2025年の寄附として計算した値を並べた。
| 年収 | 独身 総務省 | 独身 この表 | 夫婦+子2人 総務省 | 夫婦+子2人 この表 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 61,000円 | 61,405円 | 28,000円 | 28,385円 |
| 750万円 | 118,000円 | 119,648円 | 76,000円 | 76,771円 |
| 1,000万円 | 180,000円 | 183,862円 | 144,000円 | 151,956円 |
| 2,000万円 | 569,000円 | 568,181円 | 536,000円 | 540,476円 |
子2人は大学生と高校生で計算した。500万円の独身と子2人は千円単位で一致し、夫婦+子1人(高校生として計算)は40,000円に対して41,107円だった。750万円は771〜1,648円の差。1,000万円だけは3,862〜7,956円多く出た。
総務省の資料には社会保険料の前提が書かれておらず、ずれの理由は確かめられていない。1,000万円の社会保険料を年収の14.69%で上限なしに置き直すと、差は−1,915〜2,179円まで縮んだ。
上限を下げる控除と、下げない控除
iDeCoの掛金は所得税と住民税の両方から引かれるので、所得割が減り、上限も下がる。年収500万円の独身が月23,000円、年276,000円を掛けると、2026年の上限は57,833円から51,331円に下がった。iDeCoを始めた年に上限を見直さずに57,833円を寄附すると、実質負担は7,519円になる。
生命保険料控除は、所得税では国税庁のタックスアンサーNo.1140のとおり最高12万円で、住民税の控除額は別の表で決まるので、表の欄を分けた。医療費控除も両方から引かれるので、上限を下げる。
扶養の範囲を超えて働く配偶者は控除がないので、独身の列と同じ額になる。
2026年の寄附で控除される住民税は、2027年6月から引かれる令和9年度の住民税だ。6月だけ額が違う理由は住民税の特別徴収の記事に書いた。自分の年収が全体のどのあたりかは平均給与の記事の表で出せる。
確かめていないこと
ワンストップ特例では所得税の分も住民税から「申告特例控除額」として引かれる。上限を超えたときにその額がどう変わるかは条文で追いきれず、表の実質負担は確定申告をした場合の額だけにした。
住民税は道府県民税と市町村民税を合わせて10%で計算し、それぞれの端数処理は入れていない。指定都市の配分の違いも入れていない。早見表の社会保険料は見積もりで、標準報酬の等級の丸めと40歳以上の介護保険料が入っていない。給与以外の所得、ひとり親・障害者・同居老親の控除、配偶者特別控除、合計所得2,350万円超の人は対象外にした。
住宅ローン控除は表に入れていない。所得税から引ききれずに住民税から引く人の上限がどうなるかは確かめていない。あとで作ったふるさと納税の上限額シミュレーターでは、住宅ローン控除の額を入れると上限と確定申告での実質負担が出る。
2027年の寄附からは、特例分に193万円の上限が付くと総務省の資料にある。給与収入1億円相当の人が対象で、この表には入れていない。国税庁の基礎控除の引上げ等関係Q&Aによると、11月までの給与の所得税は改正前の税額表で引かれ、12月の年末調整で精算される。給与明細の所得税を見ても新しい税率は分からない。



