税理士に年52,800円払った。支払調書を出すかどうかは、請求書に消費税が分けて書いてあるかで変わる。分けてあれば48,000円で判定して出さない。税込しか書いていなければ52,800円で判定して出す。金額は同じなのに結論が逆になる。
以下、提出範囲と期限は国税庁のタックスアンサーNo.7400・7411・7431・7441・7442・7443と質疑応答事例、条文はe-Gov法令検索で2026年9月21日に確かめた。判定はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で計算している。
同じ52,800円で、出す場合と出さない場合がある
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲は、弁護士や税理士、著作者などへの報酬なら、同一人への年間支払額が5万円を超えるものだ。
金額基準に消費税を含めるかどうかについて、国税庁は原則として含めて判断するとしている。そのうえで、消費税の額が明確に区分されている場合には、含めないで判断しても差し支えないとしている。
税込52,800円の請求書が2通あったとする。片方には「報酬48,000円、消費税4,800円」と書いてある。もう片方には「報酬52,800円」としか書いていない。前者は48,000円で判定して5万円以下、後者は52,800円で判定して5万円超になる。
これは請求書の書き方の問題であって、実際に払った額の問題ではない。年間で5万円の前後になる支払先がいるなら、請求書を先に見る。区分されていないなら、相手に書き方を直してもらうという手もある。
判定表を作ったので、支払先ごとに税込額と消費税額を入れれば分かるようにした。消費税の欄を空にすると、税込のまま判定する。

法人の家主に家賃だけ払っているなら、金額がいくらでも要らない
「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲は、同一人への年間の支払金額の合計が15万円を超えるものだ。事務所の家賃を払っていれば、たいてい超える。
ところが国税庁は続けてこう書いている。法人に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く権利金、更新料等が対象となる。したがって、法人に対して家賃や賃借料のみを支払っている場合は、支払調書の提出は必要ない。
月10万円の家賃を法人の不動産会社に払っていれば年120万円だが、権利金も更新料もなければ支払調書は要らない。更新料を20万円払った年だけ、その20万円で判定することになる。
相手が個人の大家なら、家賃もそのまま対象だ。同じ120万円でも、相手が法人か個人かで結論が変わる。配った表では、相手が法人かどうかを入れると注意書きが出るようにした。
提出義務者にも条件がある。この支払調書を出すのは、対価の支払をする法人と不動産業者である個人だ。個人事業主が自分の事務所の家賃を払っているだけなら、そもそも提出義務者にならない。
給与の源泉徴収票は、役員かどうかで基準が3.3倍違う
年末調整をした人の「給与所得の源泉徴収票」を税務署に出す範囲は、3つに分かれている。法人の役員は150万円超、弁護士や司法書士、税理士などは250万円超、それ以外は500万円超だ。
役員の150万円と一般の500万円で3.3倍の開きがある。役員報酬が月13万円でも税務署に出すことになる。非常勤の役員に月15万円払っているような場合が抜けやすい。
年末調整をしなかった人は基準が下がる。扶養控除等申告書を出していて退職した人は250万円超、そのうち役員は50万円超。申告書を出していない乙欄や丙欄の人は50万円超。主たる給与が2,000万円を超えて年末調整ができなかった人は、金額にかかわらず出す。
配った表では区分を選ぶと基準額が出る。役員報酬1,560,000円で試すと、150万円を超えているので要る。一般の従業員で4,800,000円なら、500万円以下なので要らない。
どちらも市区町村への給与支払報告書は別に出す。あちらは金額の基準がなく、原則として全員分を1月31日までに出す。住民税の特別徴収の税額は、その報告書をもとに決まる。
2027年1月から、市区町村に出せば税務署に出さなくてよくなる
国税庁のNo.7400にこう書いてある。令和9年1月1日以後、市区町村に「給与支払報告書」を提出した場合には、税務署に「給与所得の源泉徴収票」を提出する必要はない。
つまり2027年1月からは、いま両方に出している源泉徴収票のうち、税務署の分がなくなる。国税庁は「源泉徴収票のみなし提出の特例」と呼んでいて、特設ページを作っている。
ただし受給者に渡す源泉徴収票は、これまでどおり全員に作って渡す。なくなるのは税務署へ出す分だけだ。ここを取り違えると本人に渡し忘れる。
2026年分、つまり2027年1月に出す分から適用になる。いまの年末調整の準備でいうと、次の1月がもう対象だ。年末調整の手順を組み直すなら、ここも入れておく。
もうひとつ、退職所得の源泉徴収票の範囲も動いている。No.7400によると、令和7年12月31日以前に支払が確定した場合には法人の役員に限られていた。令和8年1月1日以後に確定する分は役員以外にも及ぶ。細かい適用の範囲は確認していないので、該当しそうなら手引で見たほうがいい。
e-Taxで出す義務が、100枚から30枚に下がる
法定調書は、種類ごとに前々年に提出すべきであった枚数が一定以上だと、e-Taxや認定クラウド、光ディスク等で出すことになる。
いまは100枚以上だが、令和9年1月1日以後の提出からは30枚以上になる。国税庁は例として、令和7年に提出すべきであった「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」が30枚以上であった場合、令和9年1月に提出する分はe-Tax等で出す必要があると書いている。
種類ごとの判定なので、給与所得の源泉徴収票が40枚でも報酬の支払調書が5枚なら、後者は紙のままでいい。まとめて紙で出していた会社が、来年から片方だけ電子になる。
配った表に、種類ごとの枚数を入れて30枚と100枚の両方で判定する欄を作った。2年前の控えを見て入れる。給与の源泉徴収票が42枚、報酬の支払調書が35枚という会社で試すと、どちらも2027年1月からはe-Tax等になった。
給与の源泉徴収票については、みなし提出の特例で税務署への提出そのものがなくなるので、枚数の判定も関係しなくなる。残るのは報酬や不動産の支払調書のほうだ。
1月31日が日曜だった年は、2月1日が期限
法定調書の提出期限は、支払の確定した日の属する年の翌年1月31日。合計表も一緒に出す。
期限が休みに当たったときは翌日になる。国税通則法第10条第2項が、期限が日曜日や国民の祝日その他一般の休日、政令で定める日に当たるときは翌日を期限とみなすとしている。政令で定める日は、同法施行令第2条第2項で土曜日と12月29日から31日までだ。
実際に計算した。2025年分は1月31日が土曜だったので2026年2月2日、2026年分は1月31日が日曜なので2027年2月1日。2027年分の1月31日は月曜なので、そのままになる。
3年のうち2年がずれる。2日しか違わないが、1月は源泉所得税の納付も給与支払報告書も重なるので、2日は大きい。源泉所得税の納期の特例を使っているなら1月20日も来る。
最後にひとつ。税務署に出す法定調書にはマイナンバーを書くが、受給者に渡す写しには書かない。国税庁が念を押している。渡す側の様式を使い回すと、書いたまま渡してしまう。作ったあとに一度、渡す用のほうを見る。



