住宅ローン控除は2026年入居でいくら戻るか。年収500万円の4人家族は上限31万5,000円のうち10万3,600円だった

2026-10-19仕事の型

2026年に入居した家の住宅ローン控除は、年末残高の0.7%を所得税から引き、引き切れない分を翌年度の住民税から引く。新築のZEH水準省エネ住宅なら1年の上限は24万5,000円で、13年続く。ただ、借入限度額まで借りても満額を引けるのは、独身で年収602万円からだった。

年収500万円の夫婦と子2人なら、子育て世帯等の上乗せで上限は31万5,000円になる。それでも1年目に引けるのは、所得税の5万1,800円と住民税の5万1,800円で合わせて10万3,600円。残りの21万1,400円はどこからも引かれずに消える。2026年分は基礎控除が上がって所得税が減り、住民税から引ける枠もその所得税の課税所得の5%で決まるからだ。

2026年入居の1年目に住宅ローン控除で引ける上限。独身で所得税と住民税の合計は、年収400万円が112,100円、500万円が179,600円、550万円が209,200円、600万円が243,800円、650万円が278,500円、700万円が368,000円

借入限度額と控除率、控除期間、所得の要件は、e-Gov法令検索の租税特別措置法第41条(2026年10月16日施行の版)と、国税庁のタックスアンサーNo.1211-1(新築)、No.1211-3(中古)で確かめた。住民税から引く枠は、地方税法附則第5条の4の、令和8年法律第2号で改正され2027年1月1日に施行される版と、財務省の令和8年度税制改正の大綱で読んだ。どれも2026年10月19日に確認した。

計算の前提は、給与だけで賞与なし、協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率、40歳未満、東京23区に住む人。所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分で数えた。夫婦と子2人は、収入のない配偶者と16〜18歳の子1人、16歳未満の子1人の4人家族だ。年末残高は借入限度額以上あるものとした。所得税と住民税を合算で出す方法と、都民税と特別区民税に分けてそれぞれの限度で止める方法の2通りをPythonで書き、年収300万円から1,500万円まで1万円刻みの1万5,637件で照合して、不一致は0件だった。

2026年入居の借入限度額と控除期間。子育て世帯の上乗せは2026年も続く

控除率は0.7%で、令和4年から令和12年の入居まで変わらない。租税特別措置法第41条第4項と第8項にある。借入限度額は住宅の省エネ性能で決まり、2026年入居は次のとおりだった。カッコ内は子育て世帯等の上限だ。

住宅の区分 借入限度額 1年の控除の上限 控除期間
新築の認定住宅 4,500万円(5,000万円) 31万5,000円(35万円) 13年
新築のZEH水準省エネ住宅 3,500万円(4,500万円) 24万5,000円(31万5,000円) 13年
新築の省エネ基準適合住宅 2,000万円(3,000万円) 14万円(21万円) 13年
中古の認定住宅・ZEH水準 3,500万円(4,500万円) 24万5,000円(31万5,000円) 13年
中古の省エネ基準適合住宅 2,000万円(3,000万円) 14万円(21万円) 13年
中古のその他の住宅 2,000万円 14万円 10年

子育て世帯等の上乗せは、2026年も続いていた。第41条第9項が令和8年から令和12年の入居を対象にしている。当てはまるのは、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、19歳未満の扶養親族がいる人で、入居した年の12月31日の状態で判定する。

2026年の改正で変わったのは中古だった。No.1211-3の表では、中古の認定住宅等は2025年の入居まで10年で21万円が上限だったが、2026年からは13年になり、認定住宅とZEH水準は上限が24万5,000円に上がった。省エネ基準適合住宅は13年になったかわりに、上限が14万円に下がっている。新築の省エネ基準適合住宅の14万円と比べると、中古のZEH水準のほうが1年で10万5,000円多い。

新築で省エネ基準に適合しない家は、原則として対象外だ。2023年12月31日までに建築確認を受けたか、2024年6月30日までに建築された家だけ、2,000万円で10年の控除を受けられる。新築の省エネ基準適合住宅も、2028年以後の入居は、2027年12月31日までに建築確認を受けたものなどに限って2,000万円で10年になる。

2026年に入居した住宅の借入限度額と控除期間の分かれ道。新築は認定住宅4,500万円、ZEH水準3,500万円、省エネ基準2,000万円がいずれも13年。中古は認定住宅とZEH水準が3,500万円で13年、省エネ基準が2,000万円で13年、その他が2,000万円で10年

住宅ローン控除はいくら戻るか。所得税と住民税から引ける上限の決まり

1年の控除額は、年末残高と借入限度額の小さいほうに0.7%を掛け、100円未満を切り捨てた額だ。これを住宅ローン控除の前の所得税から引く。ここでいう所得税は復興特別所得税を掛ける前の額で、控除で減ったあとの額に2.1%が掛かる。年収500万円の独身なら所得税から引けるのは8万9,800円だが、復興特別所得税を含めた納税額は9万1,600円減る。

所得税で引き切れない分は、翌年度の住民税の所得割から引く。上限は所得税の課税総所得金額等の5%で、9万7,500円が頭打ちだ。5%がちょうど9万7,500円になるのは課税所得195万円のところで、ここは所得税の税率が5%から10%に上がる線と同じだった。

課税所得が195万円以下の人は、所得税が課税所得の5%、住民税の枠も5%なので、引ける上限は課税所得のちょうど10%になる。年収500万円の独身は課税所得179万6,000円なので、上限は17万9,600円だ。14万円の家なら満額を引けるが、24万5,000円の家では6万5,400円が消える。住民税の所得割がどう決まるかは、住民税は年収いくらからかかるかで数えている。

年収400万〜1,000万円で、1年目に引ける額を並べた

借入限度額まで借りたとして、1年目に引ける上限を年収ごとに出した。4人家族は合計だけを書いた。

年収 独身の所得税 独身の住民税の枠 独身の合計 夫婦と子2人の合計
400万円 56,050円 56,050円 112,100円 36,100円
450万円 72,500円 72,500円 145,000円 69,000円
500万円 89,800円 89,800円 179,600円 103,600円
550万円 111,700円 97,500円 209,200円 133,200円
600万円 146,300円 97,500円 243,800円 167,800円
650万円 181,000円 97,500円 278,500円 202,500円
700万円 270,500円 97,500円 368,000円 273,000円
800万円 425,500円 97,500円 523,000円 371,000円
900万円 615,900円 97,500円 713,400円 561,400円
1,000万円 805,300円 97,500円 902,800円 750,800円

4人家族の年収400万円は3万6,100円だった。配偶者控除と扶養控除で課税所得が36万1,000円まで下がり、所得税は1万8,050円しかない。省エネ基準の子育て世帯等の上限21万円に対して、17万3,900円が消える。

650万円と700万円の間で独身の所得税が8万9,500円も増えるのは、合計所得金額489万円を超えると基礎控除が104万円から67万円に下がるからだ。年収でいうと665万5,556円の線で、手取りが逆に減る話は年収の手取り早見表に書いた。この線は住宅ローン控除では逆に働き、所得税が増えた分だけ引ける額が増える。

満額を引ける年収はいくらからか。省エネ基準は440万円、ZEH水準は602万円

年収を1万円刻みで上げ、1年目から満額を引けるようになる年収を探した。その年収より上は、どの年収でも満額だった。

住宅の区分 独身の上限と満額の線 夫婦と子2人の上限と満額の線
新築の認定住宅 31万5,000円・666万円 35万円・787万円
新築のZEH水準、中古の認定住宅・ZEH水準 24万5,000円・602万円 31万5,000円・753万円
新築・中古の省エネ基準適合住宅 14万円・440万円 21万円・666万円
中古のその他の住宅 14万円・440万円 14万円・559万円

新築の認定住宅で5,000万円まで借りた4人家族は、年収787万円に届かないと35万円を引き切れない。年収700万円では27万3,000円で、7万7,000円が消えた。

独身の認定住宅と4人家族の省エネ基準が、どちらも666万円になった。上で書いた基礎控除の線を越えたところで所得税が一度に増え、31万5,000円と21万円に届いたためだ。

2025年までに入居した人より、住民税から引ける枠が狭い

住民税の枠の計算は、入居した年で違っていた。地方税法附則第5条の4は、居住年が平成28年から令和7年の人について、課税総所得金額等に基礎控除の48万円を超える部分を足してから5%を掛けると書いている。2026年の改正後の条文でも、この足し戻しの範囲は令和7年までのままだった。財務省の大綱も、令和8年から令和12年の入居者は「課税総所得金額等の額に100分の5」としている。

足し戻しがあれば、2026年分の基礎控除104万円のうち56万円が枠の計算に戻る。年収500万円の4人家族なら、2025年までに入居した人の枠は7万9,800円、2026年に入居した人は5万1,800円で、1年に2万8,000円の差になった。年収400万円の独身でも、8万4,050円と5万6,050円で2万8,000円違う。課税所得が195万円を超えて枠が9万7,500円で止まっている人には、この差は出ない。

13年でいくら戻るか。借入3,500万円を金利1.0%で返す例

年末残高は返済で毎年減るので、13年分の控除は上限×13にならない。新築のZEH水準で、借入限度額と同じ額を35年の元利均等、金利年1.0%で借り、1月から返し始めたと置いて数えた。金利は計算のために置いた数字で、実際の商品の金利ではない。年収と税の決まりは2026年分のままとした。

独身で3,500万円を借りた場合、1年目の年末残高は3,416万559円で、控除額は23万9,100円になる。13年分を足すと262万7,700円。年収600万円、700万円、800万円では全額を引けて、年収500万円では230万7,200円、年収400万円では145万7,300円だった。

4人家族で4,500万円を借りると、13年分は337万8,500円になる。年収800万円なら全額を引けたが、年収700万円では328万3,500円、年収500万円では134万6,800円だった。年収500万円の4人家族は毎年10万3,600円で頭打ちになり、203万1,700円を引けずに終わる。

所得2,000万円の要件と床面積40平方メートルの家

控除を受けられるのは、その年の合計所得金額が2,000万円以下の年だけだ。給与だけなら、年収850万円を超えると給与所得控除が195万円で止まるので、年収2,195万円が合計所得2,000万円にあたる。

床面積は50平方メートル以上が原則だ。40平方メートル以上50平方メートル未満の家は、合計所得金額1,000万円以下の年だけ控除を受けられる。No.1211-1によると、この広さの認定住宅等に2026年1月1日以後に入居した人は、子育て世帯等の上乗せを使えない。

1年目は確定申告で受け、給与所得者は2年目から年末調整で受けられる。1年目に確定申告をするとふるさと納税のワンストップ特例が使えなくなる話は、住宅ローン控除とふるさと納税の併用で数えた。

確かめていないこと

住民税から引く枠の条文は、2026年10月19日の時点で施行前の版を読んだ。e-Gov法令検索で今施行されている附則第5条の4は、居住年を令和7年までとしている。令和8年法律第2号による改正後の版は2027年1月1日施行で、2026年に入居した人の住民税からの控除は2027年度分から始まる。施行までにさらに改正があるかは確認していない。

計算に入れていないものがある。賞与、健康保険組合の料率、40歳以上の介護保険料、指定都市の住民税、住民税の所得割の100円未満の端数、医療費控除や生命保険料控除、所得金額調整控除、iDeCoなどの掛金だ。控除が増えれば課税所得が下がり、引ける額も下がる。2027年以後の基礎控除などの改正も入れていない。

自分の年収で所得税と住民税がいくらになるかは、手取り計算ツールで出せる。出た所得税を上の表と比べると見当がつく。

住宅ローン控除住宅借入金等特別控除2026年入居所得税住民税年収ZEH水準