年金は年収別にいくらもらえるか。年収500万円で40年なら月16万円、賞与なしなら762万円から上は増えない

2026-10-19仕事の型

平均年収500万円で20歳から60歳まで40年会社員を続けると、65歳から受け取る年金は2026年度の額で年192万5,961円、月にして16万497円になる。賞与のない月給で数えた額で、老齢基礎年金の満額84万7,300円を含む。

目を引いたのは上の端だ。厚生年金の標準報酬月額は65万円で止まるので、賞与がなければ年収762万円から上はいくら稼いでも年金は増えない。年収800万円の人も2,000万円の人も、月21万3,114円で同じになる。

40年働いた人の年金の月額。国民年金だけなら7万608円、年収300万円で12万7,611円、500万円で16万497円、800万円から上は21万3,114円で止まる

ここに出す額は、いまの決まりのまま40年同じ年収で働いたと置いた見込みだ。年金額は毎年度改定されるし、標準報酬月額の上限も2027年9月から上がる。将来の改定は数字に入れていない。

満額は日本年金機構の老齢基礎年金の年金額、報酬比例部分の式は同じく用語集とe-Gov法令検索の厚生年金保険法第43条、標準賞与額の上限は同法第24条の4、等級は日本年金機構の令和8年度の保険料額表で確かめた。満額の式は国民年金法第27条、改定率は厚生労働省の令和8年度の年金額改定の資料で見た。どれも2026年10月19日に確認した。

年金の額は「1年分の標準報酬×0.21924」に84万7,300円を足すと出る

会社員の年金は2階建てで、1階が老齢基礎年金、2階が老齢厚生年金の報酬比例部分になる。

1階は年収に関係がない。20歳から60歳までの480か月を全部納めると満額で、2026年4月分からは年84万7,300円。昭和31年4月1日以前生まれの人は84万4,900円になる。国民年金法第27条の78万900円に改定率を掛けて100円単位に丸めた額で、2026年度は前年度から1.9%上がった。会社員として厚生年金に入っていた20歳から60歳までの期間は、この480か月に数える。

2階は厚生年金保険法第43条で、平均標準報酬額の1000分の5.481に加入月数を掛ける。平均標準報酬額は、月ごとの標準報酬月額と標準賞与額を全部足して加入月数で割った額だ。40年なら480で割って480を掛けるので、月数は打ち消し合う。残るのは「1年分の標準報酬月額と標準賞与額の合計×40×5.481/1000」で、40×5.481/1000は0.21924になる。

掛ける相手は年収そのものではない。月給は保険料額表の32の等級のどれかに置き換え、賞与は1,000円未満を切り捨てて1回150万円で止めてから足す。順番を図にした。

平均年収から報酬比例部分を出す順番。月給は63万5,000円以上なら65万円、未満なら等級表の額。賞与は150万円で止まり、1年分に0.21924を掛け、基礎年金を足す

等級の段差を除けば、年収が100万円違うと報酬比例部分は年21万9,240円、月1万8,270円違う。

年収300万〜800万円で40年働いた人の年金の月額

20歳から60歳まで厚生年金に入り、40年同じ年収だったと置いた。賞与なしは年収を12で割った月給、賞与ありは夏と冬に月給2か月分ずつ出る形で、年収を16で割った月給にした。

平均年収 計算に使う1年分・賞与なし 月額・賞与なし 月額・賞与4か月分
300万円 312万円 127,611 125,966
350万円 360万円 136,380 134,809
400万円 408万円 145,150 145,881
450万円 456万円 153,920 152,531
500万円 492万円 160,497 163,603
550万円 564万円 173,651 170,253
600万円 600万円 180,228 181,325
650万円 636万円 186,806 190,167
700万円 708万円 199,960 199,046
750万円 744万円 206,537 207,889
800万円 780万円 213,114 216,768

月額の単位は円で、基礎年金の7万608円を含む。年収300万円と800万円では年収が2.67倍違うのに、年金は1.67倍しか違わない。1階の84万7,300円が誰でも同じだからだ。

現役の月給に対する割合は、年収300万円で51%、500万円で39%、800万円で32%と下がっていく。ここでいう平均年収は、受け取り始める年の賃金の水準に直したあとの40年の平均だ。

年収500万円なのに492万円で計算される。等級の丸めと賞与で変わる額

表の2列目が年収とずれているのは、月給を等級に当てはめるからだ。幅の中のどこにいても標準報酬月額は同じになる。

  1. 年収500万円、賞与なし。月給41万6,667円は39万5,000円以上42万5,000円未満の24等級で、標準報酬月額は41万円。1年分は492万円で、年収より8万円少ない。報酬比例部分は492万円×0.21924で年107万8,661円。基礎年金と足して年192万5,961円、月16万497円。
  2. 年収500万円、賞与あり。月給31万2,500円は20等級の32万円で、1年分の月給の側は384万円、賞与62万5,000円が2回で125万円、合わせて509万円。報酬比例部分は年111万5,932円。同じ年収500万円でも、賞与があるほうが年3万7,271円多い。
  3. 年収300万円、賞与なし。月給25万円ちょうどは25万円以上27万円未満の17等級に入り、標準報酬月額は26万円。1年分が312万円になり、年収より12万円多く数えられる。月給が24万9,999円なら1つ下の24万円の等級で、1年分は288万円だった。

年収550万円の賞与なしは47万円の等級に入り、1年分が14万円多い。表は40年同じ月給で置いたので段差がそのまま出ている。

多く数えられる人は、保険料も同じ額で多く払っている。標準報酬月額が4月から6月の給与で決まる流れは算定基礎届の記事に書いた。

賞与なしだと年収762万円から上は年金が増えない

標準報酬月額の上限は32等級の65万円で、報酬月額63万5,000円以上はみなここに入る。月給63万5,000円は年収にすると762万円。賞与のない人は、ここから上でいくら年収が増えても1年分は780万円のまま止まる。

賞与があると止まる位置が変わる。標準賞与額の上限は1か月150万円。厚生年金保険法第3条は賞与を「三月を超える期間ごと」に受けるものと決めているので、賞与として数えるのは年3回まで。

平均年収 月額・賞与なし 月額・賞与4か月分
800万円 213,114 216,768
900万円 213,114 234,490
1,000万円 213,114 252,212
1,100万円 213,114 263,357
1,200万円 213,114 267,924

賞与4か月分の形では、月給が63万5,000円に届く年収1,016万円で月給の側が止まり、1回の賞与が150万円を超える年収1,200万円で賞与の側も止まる。年収1,000万円の人の年金は、賞与なしなら月21万3,114円、賞与ありなら月25万2,212円で、月3万9,098円違う。同じ上限で年収1,000万円の手取りが500万円の2倍にならない話は、年収1,000万円の手取りの記事で数えた。

いまの決まりで会社員の年金に天井をつけると、1年分が65万円×12か月と150万円×3回の1,230万円で40年。報酬比例部分は年269万6,652円で、基礎年金と足して年354万3,952円、月29万5,329円になる。

上限は動く。2025年の年金制度改正法で、標準報酬月額の上限は2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へ上がる。厚生労働省の標準報酬月額の上限の段階的引上げのページは、月75万円以上の人がこの状態で10年働くと年金は月約5,100円増えると試算している。この記事の表には引上げを入れていない。

払った厚生年金保険料は何年で受け取り終えるか

厚生年金保険料の率は18.3%で、本人が払うのは半分の9.15%。40年同じ年収の形で、本人分の保険料の合計を年金の年額で割った。

平均年収 本人分の保険料40年 年金の年額 割った年数
300万円 11,419,200 1,531,329 7.5年
500万円 18,007,200 1,925,961 9.3年
800万円 28,548,000 2,557,372 11.2年

賞与なしで、単位は円。年収が低いほど早いのは、ここでも基礎年金が同じ額だからだ。65歳から受け取り始めると、年収500万円の人は74歳の途中で本人分の保険料と同じ額を受け取る。

損得の計算ではない。会社が払う同じ額の保険料は入れておらず、総額は何歳まで受け取るかで決まる。現役の今、年収ごとに保険料と税がいくら引かれるかは手取りの早見表に並べてある。

ねんきん定期便や厚労省の例より多く出るのはなぜか

厚生労働省は2026年度の標準的な年金として、平均標準報酬45万5,000円で40年働いた夫と専業主婦の妻の2人分で月23万7,279円を出している。2人分の基礎年金を引いた報酬比例部分は月約9万6,000円。同じ45万5,000円をこの記事の式に入れると月9万9,754円になり、式のほうが約3.7%多い。

差を項目ごとに分けてはいない。式の中で違いうるのは再評価率だ。平均標準報酬額は、過去の標準報酬月額にそのまま掛けるのではなく、年ごとの再評価率を掛けて今の水準に直してから平均する。日本年金機構の年金額の計算に用いる数値にある令和8年度の表では、昭和31年度以後生まれの人の2025年4月から2027年3月までの標準報酬にかかる率は0.921で、1を下回る。2003年度から2013年度の分は1.04から1.07だった。

この記事の表は再評価率を1と置いた。ねんきん定期便の見込額は記録に実際の再評価率を掛けた額なので、同じ年収でも表とは一致しない。

よくある取り違え

  1. 乗率に5.769/1000を使う。日本年金機構の用語集で5.769は従前額保障の式の率で、平成6年の水準で再評価した標準報酬に掛けて1.082倍する。今の水準の年収に5.769だけを掛けると、報酬比例部分は5.3%、年収500万円の賞与なしで年5万6,678円多く出る。
  2. 年収を12で割った額をそのまま標準報酬月額にする。年収300万円なら25万円で数えてしまうが、実際は26万円の等級で、報酬比例部分は年2万6,309円違う。
  3. 厚労省の月23万7,279円を1人分と読む。夫婦2人分の基礎年金を含む額で、夫1人の分は2026年度の満額で引くと月16万6,671円になる。

計算の照合

Pythonで書き方を変えて2通り作った。1つ目は1年分の合計に0.21924を掛ける。2つ目は480か月の記録を1か月ずつ並べ、平均標準報酬額を出してから5.481/1000と月数を掛ける。年収100万〜2,000万円の1万円刻みを賞与なしと賞与ありで、加入年数を変えた行と保険料の行も含めて3,826件突き合わせ、不一致は0件だった。

確かめていないこと

加給年金、経過的加算、繰上げと繰下げは入れていない。

2003年3月以前に厚生年金に入っていた期間は、賞与を含まない平均標準報酬月額に7.125/1000を掛ける別の式になる。22歳で就職した人なら1981年3月以前の生まれ、2026年に45歳以上の人がこの期間を持つ。この記事の表は全期間を2003年4月以後の式で数えた。共済組合の期間や、国民年金の未納と免除の期間も数えていない。

年金にかかる所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料は引いていない。年金の収入には給与所得控除ではなく公的年金等控除を使うので、給与で住民税がかかる線を数えた住民税は年収いくらからの記事の数字はそのまま当てはまらない。年金の手取りは確かめていない。

毎年度の改定、マクロ経済スライド、2027年9月からの上限の引上げは反映していない。表の額は2026年度の決まりで置いた見込みで、実際に受け取る額ではない。

現役の今の年収から、引かれる厚生年金保険料と手取りを出したいときは、手取り計算ツールで数えられる。

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